2017年9月5日火曜日

シャッフル・オフェンス


シャッフル・オフェンスは、選手のポジションを固定せずポジションを変えながら、連続的に動いて攻撃するオフェンスです。よいセンターがおらず全体的に小柄な場合にはシャッフルオフェンスを行うことがあります。このオフェンスは、中心となるベーシックカット・ムーブメントを軸として、通常は7つのオプションプレーからなります。ベーシックカット・ムーブメントは、3つのスクリーンからなる縦横の連続カッティングです。オプションプレーでもスクリーンを中心とした多くのプレーが現れます。ポジションを入れ替わる場合、スクリーンとウイーブ(交差)の2種類のプレーがあります。ディフェンスとの相性はスクリーン、速度ではウイーブですので、いくつかのスクリーンはウイーブに代えることができます。全てのプレーヤーはどのポジションからでもプレーでき、どのオプションプレーも理解しなければなりません。これが、シャッフル・オフェンスの弱点であると同時に強みでもあるのです。すなわち、シャッフル・オフェンスが理解できるのが5人未満の場合は、このオフェンスは使用が難しくなります。しかし、理解できる選手が6人以上になると、誰が出ても同じような成果が期待できます。
ここでの図では、ローポストに2人入れていますが、別にコーナーでも構いません。スクリーンの位置が難しくなる代わりに、ペイントエリアのスペースが広くなります。また、第一スクリーンはステーショナル・スクリーンにしていますが、そうでなくても構いませんしファーストカットのあとセカンドカッターをウイングに上げて、ファーストカットと同じカットを行うものもあります。どのようなものでも一長一短がありますが、とりあえず大学2年生で行ったシャッフル・オフェンスを中心に記載します。

基本形
シャッフル・オフェンスの基本形です。フィーダーはプレッシャーがかからないならウイングでも構いません。シャッフル・オフェンスを行う場合は、まず、全員がこの形を覚えなければならず、ここからの動きを理解しなくてはなりません。




ベーシックカット・ムーブメント
ベーシックカット・ムーブメントは、シャッフル・オフェンスにおいて軸となる動きです。
開始のボール保持は①でも②でも構いません。①がボールを保持しているときは、②にパスします。③はローポストからフェイクしてからアウトサイドに飛び出します(図2)。
③は②からパスを受け、ドライブインかシュートをねらいます。ディフェンスがシュートやフェイントに反応した場合は、ドライブインします(図3)。
①は②にパスした後、③のドライブインのタイミングに合わせて、エルボーの⑤に自分のディフェンスがぶつかってスクリーンがかかるように、ボールサイドをSカットします(図4)。
この場面では、⑤が①にスクリーンするプレーがあります。また、④が①のカットインの邪魔にならないようにウイングに上がるプレーもあります。
⑤は①のスクリーン後、すぐに④にダウンスクリーンをかけます(図5)。この場面では、⑤のピックアンドライブ(①のスクリーン通過直後に中へ飛び込むプレー)してからの④へのスクリーンがあります(ピックアンドロールは遅いため次のプレーに間に合わない)。また、④がウイングに上がっているときは、エルボーに留まるか、④にスクリーンに行くかします。
④はカットインした後、⑤と逆のエルボーへポストアップします。②は⑤にダウンスクリーンをかけ、⑤をトップに上げた後、アウトしてローポストに入ります(図5)。⑤はフリースロー付近でボールが入ることがあるので注意が必要です。また、④にスクリーンをかけた後、ピックアンドロールをしている場合は、オーバータイムに気をつけなくてはなりません。
②と④の移動が終わると、逆サイドのベーシックカット・ムーブメントの配置になります(図7)。それぞれのポジションは次のようになります。
ファーストカッター→ セカンドカッター→ ポストマン→ ポイントマン→ フィーダー→ ファーストカッター

スプリット・オプション
ボールの動きはトップを経由してストロングサイドからヘルプサイドにパスします。従って、トップのディフェンスにボールを持たせないようにディナイしてくることが考えられます。スプリット・オプションは、②(ポイントマン)がディナイされた場合のオプションプレーです。このプレーによって、②(ポイントマン)へのプレッシャーを減らすことができます。
スプリット・オプションは2種類のプレーがありますがその目的については同じです。プレーはベーシック・カットのポジションで①がボールを保持しているが②にパスできない状況から始まります。
1つは、①が②ではなく⑤にパスします(図8)。このとき、他の簡単なプレー(ローポストの中へのプレーや①にリターンしてシュート、自分の1対1など)を頭に置いておかなくてはなりません。
①は④にダウンスクリーンをかけます。④は①のスクリーンを利用して⑤からパスをうけてシュートします。①はローポストに移動します。ヘルプサイドは②が③にダウンスクリーンをかけます。③はスクリーンを利用してトップに動き、②はローポストに移動します(図9)。
④は、シュートできない時、今度はプレッシャーのかかっていない③にパスして、新しいファーストカッターとなり、ベーシックカットを行います(図10)。
もう1つのスプリット・オプションは、②のディフェンスが⑤にヘルプに行ったり、ボールラインを守ったりして下がった場合です。⑤は②にパスし、②は飛び出した③にパスします。①のファーストカットによって、ベーシックカットに入ります(図11)。  ④の位置からパスが入る場合は、①のドライブに合わせて④がウイングに動きます(図12)。①は⑤にパスして④にスクリーンを作ります。④がスクリーンによりフリーとなったところへ⑤からパスをして、シュートまたはドライブインをねらいます(図13)。  もしこの場合に②のディフェンスが下がるようなら、⑤②③とパスして、④が①のスクリーンを使わずにベーシックカットに入ります。

ローテーション・オプション
ローテーション・オプションは、ボールをヘルプサイドに移さずに、ストロングサイドに置いたままで攻撃するオプションで、②および③のディナイに対抗したり、プレーの方向を一時的に変え、ディフェンスに対抗するために行います。
まず、④はコーナーに出て、①からのパスをもらいます。①は⑤をスクリーンに使い、ボールサイドカットをします(図14)。
または、⑤のスクリーンを利用したバックカットでも構いません(図15)。いずれの場合も、③はリング下のヘルプディフェンスを減らすためにウイングに上がります。
図で示されるように⑤②③とローテーションします。④がウイングの⑤にパスすれば、ベーシックカットに戻ります(図16)。ウイングの⑤がエルボーの②をスクリーナーとしてカットすれば、ローテーション・オプションが継続します。

バックドア・オプション
スプリット・オプションはセンターを使い、パスをヘルプサイドへ送り、ベーシックカットを継続するオプションですので、トップとセンターの両方をディナイされたときのオフェンスです。
②と⑤がディナイされた場合は、③がトップオブザキー(フリースローサークルの頭)に出て①からのボールをもらいます。このとき、②と③の距離が近いと、トラップ(この場合はダブルチーム)される可能性があるので、②は③から十分に離れなくてはなりません。また、⑤はディナイに対してドロップカットがあることを考えないといけません(図17)。④はリング下をオープンにするためにコーナーに動きます。
②はトラップ解消のために③の横を走り抜けますが、うまく相手を振り切れたときは、フリップパスからドライブインとなります。③はヘルプサイドがオープンになっているので、いつでもアイソレーションが可能です。また、①は⑤のスクリーンを使い、バックドアに走ります(図18)。
①がうまく走れなかったときは、④にスクリーンします。④はスクリーンを使ってウイングでボールをもらいます。リング下まで走り込んだ②はヘルプサイドのローポストに移動します(図19)。この時点で形を整えていれば、ベーシックカットに戻ることができます。
②と⑤がディナイされた場合は、③がトップオブザキー(フリースローサークルの頭)に出て①からのボールをもらいます。このとき、②と③の距離が近いと、トラップ(この場合はダブルチーム)される可能性があるので、②は③から十分に離れなくてはなりません。また、⑤はディナイに対してドロップカットがあることを考えないといけません(図17)。④はリング下をオープンにするためにコーナーに動きます。
②はトラップ解消のために③の横を走り抜けますが、うまく相手を振り切れたときは、フリップパスからドライブインとなります。③はヘルプサイドがオープンになっているので、いつでもアイソレーションが可能です。また、①は⑤のスクリーンを使い、バックドアに走ります(図18)。
①がうまく走れなかったときは、④にスクリーンします。④はスクリーンを使ってウイングでボールをもらいます。リング下まで走り込んだ②はヘルプサイドのローポストに移動します(図19)。この時点で形を整えていれば、ベーシックカットに戻ることができます。

④へ①と一緒に⑤もスクリーンに行き、ダブルスクリーンを作ります。⑤はペイント中央に移動できるチャンスがあります。④はダブルスクリーンを使ってウイングに出ます(図20)。
③はリトリートドリブルからヘルプサイドの②にパスします。⑤はエルボーでスクリーンを作り、④はそのスクリーンを使ってカットし、ベーシックカットに戻ります(図21)。

キックバック・オプション
キックバック・オプションは、③のフィーダーに対するディナイに対抗するためのプレーで、フィーダーにパスせずにベーシックカットを継続するプレーです。
①は、②にパスした後、⑤のスクリーンを利用してカットインします。③は、②からパスを受けるためにウイングに上がります(図22)。カットした①はローポストへ、⑤は逆側のエルボーに動き、②は、③へのパスフェイクをして、上がってきた④にパスします(図23)。

イクスチェンジ・オプション
コート全面で激しくプレッシャーをかけてくるチームは多いです。イクスチェンジ・オプションは、ディフェンスの積極的なディナイに対するオフェンスです。このオフェンスは、パスではなくほとんどドリブルで意図するところにボールを運び,あいたところにもう片方のオフェンスプレーヤーがポジションチェンジして、攻撃を継続させます。イクスチェンジ・オプションは数種類ありますが、基本的にドリブル移動とスクリーンを使ってボールをもらう方法との組み合わせになります。
①は②にパスしたいのですがディナイされているので、パスせずにドリブルでトップの位置に進み、③にパスします。②は、①とポジションチェンジしてから⑤のスクリーンを使ってバスケットに向かってカットし、ベーシックカットを継続します(図26)。
①は④の方向にドリブルし、④は①のドリブルスクリーンを利用して手渡しパスを受け、ウイングにドリブルします。この時、ヘルプサイドで②と③が同じようにスクリーンを使ってポジションチェンジします(図27)。④が③にパスし、ポップアウトした②にまわせば、ベーシックカットに戻ります。
③と④がクロススクリーンでポジションチェンジし、②と⑤がダウンスクリーンでポジションチェンジします(図28)。①から⑤、ポップアウトした④にパスし、①が②のスクリーンでカットインすれば、ベーシックカットに戻ります。
①はトップの方向にドリブルで進み、②は①とポジションチェンジします。⑤はクロススクリーンで③とポジションチェンジします(図29)。③がエルボーに出てポップアウトした⑤にボールが通ればベーシックカットになります。

トレイル・オプション
トレイル・オプションは、ボールマンである③のフィーダーに対して激しくプレッシャーがかけられているときのオプションであり、トレイルプレーを使ってプレッシャーを解消してパスをするのを目的としています。
①から②にパスされたとき、③はインサイドにフェイクしてからアウトサイドに飛び出して②からパスを受けます(図30)。
①は②から③にパスされるときに③がドライブインできるようにタイミングを合わせて、自分のディフェンスが⑤のスクリーンにかかるようにカットインします(図31)。 ④はスペースを広げるためにウイングに上がっても構いません。
⑤は①にスクリーンをかけたら直ちに④にダウンスクリーンかけます。コーナーから上がってきた④は、ハイポストでのシュート、またはインサイドプレイをねらいます。このとき①は、ボールサイドのコーナーに移動し、ゴール近くをオープンにします。②は、③の後方に動く(図32)。
③は②に手渡しパスした後、④のスクリーンを利用して、カットインし、逆サイドのローポストまで走ります。⑤はリング下をオープンにするためにトップに上がります(図33)。すべてのチャンスがうまくいかなければ、②は⑤を経由して③にパスし、直ちにベーシックカットに入ります(図34)。

まず、ベイシックカット・ムーブメントを動ける人数を増やしましょう。セットオフェンスを採用する利点の一つは、動き方を覚えればとりあえず試合で使えるというところです。使える人数が多いほど、多くのメンバーを試合に使えることになります。それもまたチームとしては大切なことだと思います。

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2017年8月13日日曜日

オールコート1対1


オールコートの1対1は、ディフェンス練習が主になりますが、オフェンスの練習にもなります。それはコーチの考え方によります。
では、どのような練習になるのかを説明します。

オフェンス練習

ボールのもらい方
まず、最初に行わなくてはならないのは、ボールのもらい方です。相手を引き離してボールを貰うのが基本です。
自分がボールに向かって飛び出すのをボールミートと言います。これは、ある程度距離がないとダブルチームなどをされることがあります。また、突然、思い切りよく、大きく飛び出さないと効果はありません。パスもうまく合わせるのが大切です。
次に自分が相手から後ろへ離れるように下がってボールをもらうのをミートアウトと言います。ミートアウトだけでボールをもらえることは殆どなく、VカットやLカットやシールと合わせて行うのが普通です。
最後にディフェンスの裏側を走り抜ける動きをバックカットと言います。ディフェンスがディナイをした時に効果があります。

ポールをもらった時の態勢を作る
ボールを持った時に相手に背中を見せているようでは攻められません。また、ボールをもらった時やピボットのトラベリング、ボールキャッチの良し悪し、ボールの構え方などの練習ができます。

ディフェンスとの距離を知る
オフェンスから見るとディフェンスが近いほど抜きやすくなります。それは、距離が近いと、オフェンスの動きに対してより短い時間で反応しなければならないからです。従って、オフェンスはまずこの距離で抜けるかどうかを判断する必要があります。
基準は腕の距離で測ります。腕半分の距離ではほとんど抜くことができます。腕1本分の距離ではややオフェンス有利です。腕1本半以上の距離は普通はディフェンスが勝ちます。

ディフェンスと駆け引きを行う
相手が下がるのが遅ければ、一気に距離を詰めてスピードで抜く。横の動きに弱ければ横に動いてみて動きの差で抜く。
その他、スピードの変化、方向の変化などで抜くなどドリブルのところにある技術が駆け引きで使えます。

相手チームを考える
これは、かなり高度な練習です。例えば相手がサイドラインに追い込んできたら、その先にどのようなトラップがあるかを予想し、対処の仕方を考えてプレーする。
漠然と相手だけを見るのでなく、コート全体に視野を広げる練習もできます。

ディフェンス練習

プレッシャーのかけ方
ボールを持った瞬間に、オフェンスの足元に寄ってプレッシャーをかけます。 相手がひるんでピボットで逃げれば追いかけるようにプレッシャーをかけ続けます。 相手が抜くような構えをとったら、ジャンプバックで腕の1本半分の距離をとります。
オフェンスの1歩目の動きに対してディフェンスはどうしても1歩目が遅れます。その遅れが2歩目、3歩目と積み重なることで、抜かれます。 これに対してディフェンスは距離をとって時間の遅れを距離で補います。従ってこの距離は人によって違います。自分の距離を知りましょう。

ディレクション
オフェンスの方向づけを行います。通常はサイドライン沿いに相手を追い込むファンディフェンスを使います。ファンディフェンスは、インライン(オフェンスとゴールを結ぶ線)をまたいだまま、全体に行かせたくない方向に位置取りして行かせたい方向の足を引いて相手に正対する姿勢を取ります。
思い通りの方向に抜いてきたら、出来るだけサイドステップのままインラインを外さないようにします。これによって、相手が真っ直ぐ抜けずにサイドライン沿いにドリブルをするようになります。
思い通りと反対の方向に抜いてきた場合は、先にコースに入って相手を押さえます。相手は方向を変えるしかなく、サイドライン沿いに動くことになります。
ファンディフェンスの利点は、パスやドライブインが1方向になること、パスを投げにくいゾーンができること、トラップをかけやすいこと、真ん中を走られるのに比べて多少時間がかかることなどです。
サイドライン方向ではなく、ミドルレーン(リングとリングを結ぶ線)に追い込むファネルディフェンスという方法もあります。これは中央に強いディフェンスがいてカバーしてくれる時に使います。

ドリブルに対するディフェンス
相手がトップスピードになってしまうと、追いかけるのが精いっぱいです。従って、相手がトップスピードを出させないようにするにはどうするかというのが、課題の1つになります。
これは、必ずインラインを取ることによって、相手がそれを避けて通らねばならないため、トップスピードが出せないようにすることでしょう。
次の考えは、相手のコースを止めてしまう考えです。しかしステップで回り込んで止めるのは難しく、ドリブルチェンジされるとディフェンスできません。 ここで、サイドラインに追い込むことが生きてきます。サイドラインを越えてプレーできないので、ディフェンスの代わりになります。
それでは、トップスピードになった相手を止めるにはどうすればいいでしょうか。サイドラインに追い込むのと同様に、相手が内側へ切れ込んでくるのを阻止しながらエンドラインへ追い込みます。できるだけリングから離れた場所に追い込むとシュート率も落ちるので出来るだけコーナー近くに追い込みましょう。

ドリブルが止まった時のディフェンス
ドリブルが止まったら、相手はパスかシュートしかありません。今度は抜かれる心配はありませんから、相手の胸に自分の胸を当てる(本1冊分開けて)つもりでプレッシャーをかけます。 ボールに対しては確実にチェックするとともにボールが前に来たらねらいます。このディフェンスを、相手が棒のようになってしまうことから、スティックと言います。

オフェンスと駆け引きを行う
実際の相手はフェイントをかけてきます。カットインやパスのフェイントです。フェイントをかけてくる目的は第一に抜くことですから、少し下がるだけで対応します。

チームディフェンスを考える
これは、かなり高度な練習です。通常声を出しながらボールの位置を味方に教えるのも必要ですが、ボールディフェンスは後ろの状況が見えませんので、味方からの声が必要です。自分の相手だけでなく周りの声にも注意する必要があります。
またランアンドジャンプスクランブルを行うチームなら、決まった約束があるので、しっかり守ることです。


2017年7月17日月曜日

オフボール・オフェンス


試合や練習で自分がボールを持っていないとき、ボールをもらおうとしてもパスが来ず、気が付いたら味方の邪魔をしていることはないでしょうか。バスケットボールではボールを持ったときの攻め方よりも、ボールを持たないところでの動きの方が何倍も大切なのです。バスケットボールの上手な選手は、必ずボールのないところでうまく動きます。このボールを持たないオフェンスのことをオフボールオフェンスと言います。

動き方がわからない

ボールが欲しい
オフボールの動きがよくわかっていない場合、おもに2種類のことに陥りがちです。
 (A)動き方がわからなくて、ただ立っているだけ
 (B)とにかくパスをもらおうとがむしゃらに動き、とくにボールの近くに行きがち
(A)の場合、カッティングやスクリーンを試みましょう。とくにスクリーンプレイは最低でも2人が動きますし、スピードなどで振り切るばかりではないプレイですのでオススメです。
このケースになりやすいのは、自分が主体的にボールを持ってプレイしたいと思っていないタイプが多いです。スクリーンプレイであれば、ほかのプレイヤーをフリーにするために、積極的に動きましょう。また、自分が得点できるパターンを1つでもつくって、その形をつくれるように工夫することも大切です。
(B)の場合は、特に注意しなければなりません。
このケースになりやすいのは、得点力に自信があったり、ボールによく触りたかったり、とにかくオフェンスに関わりたいタイプです。もし、こういうケースに当てはまっている場合、チームオフェンスのリズムを崩したり、ほかのプレイヤーの攻撃機会をつぶしてしまっていることを自覚しましょう。
さきほども書きましたとおり、攻めるにはスペースが必要です。そのスペースを確保するためには、少なくとも半径3mの円のなかに味方がいないことが大切です。そうでないと十分なスペースがなく、1対1を仕掛けてもディフェンスが集まりやすかったり、シュートやパスをスティールされてしまいます。つまり、ボールに近づくことによって、ボールマンはシュート、パス、ドリブルのすべての機会を奪われている、ということです。
ボールマンが仕掛けようとしている場合、その仕掛けから生まれるチャンスに備えた動きをしましょう。時には、動かずに十分なスペースを取って待っていることも必要です。攻撃が始まったら、パスをもらえる位置に動き直して、ボールが来るのを待ちましょう。パスが欲しいばかりに、ボールに近づいて、自分をマークしているディフェンスに簡単にヘルプに行かせるようなことはしてはいけません。このように、時に「動かない」ということも、重要なオフボールのセレクションの一つなのです。

邪魔になってしまう
パスをもらおうとして動いたら、ドリブルしてきたプレイヤーとかぶってしまう。動いたら、ほかのプレイヤーと同じところへ行ってしまった。動き方がわからなくて立っていたら怒られる。こうした経験はないでしょうか。
バスケットボールでは、オフボール(ボールのないところ)での動きも大切です。ボールは1つしかなく、ボールを持っているプレイヤーが1人なのに対して、オフボールのプレイヤーは4人ですから、単純に計算すると、オフェンスの時間のうち、80%はボールを持っていない、ということです。オフボールで効果的に動けないということは、オフェンスの時間のほとんど、何の役にも立っていないのと同じなのです。ただ、役に立たたないだけなら、少しはマシかもしれません。それどころか味方とかぶってしまったりすれば、邪魔になってしまいます。
バスケットボールではボールを持った状態でのシュート、パス、ドリブルはとても大切ですが、オフボールでも効果的に動けていなければ、よいプレイヤーにはなれないのです。それではまず、邪魔にならないように、動くべき場所がわかるようになるには、どうしたらいいのでしょうか。
ボールマン①の方向へ②が動くと、ボール付近に敵味方4人が集まって、1対1どころかパスもできなくなります。 1対1は周りが広い方がやりやすいので、ボールから遠ざかる方が良いプレーとなります。また、ボールが欲しい場合は、元の位置に飛び出してボールをもらうことができます。 一般的に、ボールに向かう動き(ボールミート・フラッシュ)、ボールから遠ざかる動き(フレアカット)、リングに向かう動き(カットイン)、リングから離れる動き(カットオフ・ポップアウト)、スクリーンの5つの動きから可能で適切なものを使うことになります。

ボールを持っていないときの動き方の基本
オフザボール(ボールのないところ)の動きには基本があります。 これを知らないと、仲間と同じ所に動いてしまって邪魔になったり、動く場所がわからなくてその場で止まっていて指摘されたり、チームとしてバラバラになり、ボールを持ったプレイヤーが1対1を仕掛けるだけのオフェンスになってしまいます。
より具体的な動きはチーム戦術と合わせて確認するのですが、基本は覚えておきましょう。

上記の表は、オフボールオフェンスの動きを示したものです。動きの分類と一番左が目的です。この中で注意して頂きたいのは、一番右の「目的」の欄に、「ボールをもらう」は3つしかないということです(トレイルプレーを入れると4つ)。動きの方向の自由さから考えると、ボールを要求するプレーは4回に1回位で、実際にパスが来るのは5回に1回位でしょう。ボールをもらわない場合(もらえない場合ではない)の動きの目的は、スペースを作る・使う、スクリーンを作る、クリアアウト(カットインなどのコースを作る)の3通りになります。これらのプレーは、味方がシュートするための手助けです。
オフボールオフェンスを理解し、判断し、動くことは、個人の能力向上だけでなく、チームオフェンスからチームプレーになっていくものです。
とは言っても、今のプレーはどこが悪かったのか、どうしたら良いのか分らないひとがおられると思います。下表は私が作ったとりあえずどうしたら良いかを示した表です。利用して下さい。

スペースの作り方
動くべき場所は、スペースのあるところです。
スペースというのは、シュート、パス、ドリブルといったプレイをするときに、ほかのプレイヤーが邪魔にならない(つまり誰もいない場所のこと)空間を指します。たとえば、ほかのプレイヤーの真横に動いてしまえば、ディフェンスもついてきて、同じ場所に4人のプレイヤーがいることになります。これではドリブルで仕掛けることはほとんど無理ですし、シュートやパスもスティールされやすくなります。
このスペースを考えるとき、基準になる距離があります。よいスペーシングができているとき、それは5人のオフェンスプレイヤーがそれぞれ3~5m以上離れている場合です。まずは実際にラインの引いてあるコートで、この距離を体感してみてください。大股で1m位です。
動き方やスペーシングに問題を抱えているチームのほとんどは、この距離を保てていません。せっかくのハーフコートを、とても狭く使っているため、攻めづらくなってしまっているのです。スペースを探して動くときは、このスペーシングの原則を守ってください。
チーム全体のスペーシングが悪いときは、自分だけでなく、ほかのプレイヤーのポジションも修正する必要があります。こうしたスペースを探したり、ポジション修正をするために重要なのが、コート全体を見ることです。首を振ってコート全体を確認し、それぞれのプレイヤーがどのくらいの位置関係にいるか、スペースはどれくらいあるか、をチェックするのです。 動く場所がわからないという場合、たいていはコート全体の把握ができていません。オフボールではボールをディフェンスに取られる心配もないのですから、オンボールのとき以上にコート全体に気を配りましょう。

声を出す・ボールを呼ぶ
スペースを見つけたら、今度はパスをもらう準備をします。
ただ立っていてもパスはもらえません。もらえるとすれば、自分がシュートを打てない距離だったり、ディフェンスに脅威を与えられない場所です。シュート、パス、ドリブルのすべてができる状態(トリプルスレット)でボールをもらうためには、ディフェンスを外す必要があります。ディフェンスが外れていれば、ボールマンは安心してパスを出すことができます。ボールを呼びこむことができるのです。
ディフェンスを外すのに必要な技術は、カッティングとスクリーンです。
でも、絶好のタイミングで動いたとしても、パッサーが気づかなければパスは来ません。スペースに入った時にはボールが来ているように、少し早く声を出しましょう。試合会場では色々な声が飛び交いますので、他の声に負けないように大きな声を出さなければ意味がありません

パスが来ない・パスが回らない
よくないチームにありがちなのは、パスが回らないことです。たとえば、ヘルプが来たときなどに、強引に行ってしまってパスが出ない、というようにです。あるいは、ボールマンが攻めにくくなっているにもかかわらず、パスして状況を変えようとしない、ということもあります。これは、ボールを持っているプレイヤーが身勝手だから起こっていることでしょうか。もちろんそういったこともあるでしょう。しかし、パスが回らない原因は、ボールマンだけにあるとは限りません。
ここに2つのチームがあるとします。1つは、パスをたくさん回してフリーになれたプレイヤーがシュートを打つチーム。もう1つは、ボールを持ったプレイヤーが最後まで攻める場合がほとんどのチーム。あなたは、どちらのチームに入っても同じようにプレイするでしょうか。
おそらく、前者のチームになれば自分がシュートを打ちたくてもパスを回すはずです。これは、パスを回したとしても、自分がフリーになればシュートを打てるからです。一方、後者のチームになればボールを持ったら離さず、どんな状況でもシュートに行こうとするでしょう。これは、一度パスしてしまうと二度とボールには触れられず、シュートは打てないからです。
ボールマンがパスを出さないのは、ほかのプレイヤーもパスをしないからです。特定のプレイヤーのみに原因があるわけではなく、チーム全体の問題なのです。

フロアバランスについて
フロアバランスとは、コートのなかで人がどういうポジションにいるか、ということです。たとえば、基本的なポジションとしてトップ、両ウィング、ポストに2人います。このポジションではそれぞれにスペースがある程度あり、距離感も遠すぎません。こうした全体のポジショニングは「フロアバランスがよい」ということになり、攻めづらさを感じることは少ないです。
「動こうとすると、仲間とかぶってしまう」「狭くて攻めづらい」と感じるときは、フロアバランスが悪くなっています。「どこに人がいて、どこにスペースがあるのか」を考えながら動くことができれば、フロアバランスがよいまま、攻めることができるのです。
こうした「フロアバランスを整える」動きは、オフェンスの技術として、とても大切です。
しかし、常にフロアバランスがよい状態が、攻めやすい状態であるとは限りません
たとえばバスケットボールのオフェンス戦術に「アイソレーション」があります。ほかのプレイヤーが逆サイドに固まったりすることで、1対1の強い1人のプレイヤーに大きなスペースを与える戦術です。アイソレーションでは、まったくフロアバランスがよいとは言えません。
このように、「あえてフロアバランスを崩す」ことで、オフェンスの突破口を見つけ出そうというプレイもあります。 ゾーンディフェンスに対するオフェンスも同じで、あえて近いところにオフェンスプレイヤーをおくことで、数的優位をつくって攻めやすくすることもあります。
多くのディフェンスはフロアバランスの整った形が一番押さえやすくなっています。特にゾーンディフェンスは、オフェンスの配置が左右対称であることを前提としています。
フロアバランスは単に整えるばかりでなく、あえて崩すということも必要になるのです。動きを考えるとき、このフロアバランスということを頭に入れおいてください。

パスをもらえない人が注意すること
上記のことを守っているのにパスがもらえない人は次のことを考えて下さい。 パスをもらうためには、もちろんオープン(ディフェンスのマークが外れたフリーの状態)であることは大切ですが、それ以前の重要なことがあります。
それはチームメイトからの「信頼」です。
こんな経験はありませんか?
練習や試合で、レベルの高い人と低い人が混ざったチームにいる。ボールを持っているとき、レベルの高い人に優先的にパスを出してしまう。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。 理由は、
・レベルの高い人なら、ボールを奪われる心配が少ない
・レベルの高い人なら、状況に応じてシュートやドリブル、パスを適切に判断してくれる
などと考えるからです。
これが「信頼」です。
「あなたは、チームメイトにとって信頼に足るプレイヤーですか?」 この質問は、次のように言い換えると自問しやすいでしょう。
「あなたは、簡単なミスをしたり、シュートは打つけれどまったく入らない、といった自分中心のプレイをしていませんか?」
自分のミスや悪いところに目を向ける質問ですので、避けたいかもしれません。ですが、これを問わないと始まりません。
いくらオープンになる技術を磨いても、チームメイトの信頼がなければ、あなたが思ったとおりにパスはもらえないでしょう。ふだんの練習から、チームメイトに信頼してもらえるようなプレイをしているか、信頼を失うようなミスやプレイをしていないか、見直してみてください。コーチが「信頼できない選手」と判断した場合は、試合に出る機会は激減するでしょう。
もし「ちょっとまずいかも」と思うなら、直しましょう。
・ミスを減らすこと
・チームに貢献できるようにプレイすること

これらを心がけてプレイすることで、チームメイトからすこしずつ信頼されるようになるはずです。

ビジョンエリアとブラインドエリア
ボールマンからパスをもらう場合、2種類の「スペース(場所)」について知っておかなければなりません。それは、
・ブラインドエリア
・ビジョンエリア
です。
ブラインドエリアとは、ボールマンが見えないスペースのことです。たとえば、ボールマンがカットインして、ディフェンスがヘルプに来たとき、ヘルプディフェンスによって遮られた視角を見ることはできません。
ビジョンエリアは反対に、ボールマンが見えるスペースのことです。コート上から、ブラインドエリアを差し引いたものが、ビジョンエリアになります。 この説明からわかるとおり、ボールマンからパスをもらうためには、ビジョンエリアにいなければなりません。
これが、意外とできないのです。
ボールマンがカットインして自分のマークマンがディフェンスにいったとき、ミドルシュートなどを打とうとしてディフェンスの裏側に動いていませんか?ほとんどの場合、ボールマンはあなたを確認することができません。もし一瞬見えたとしても、その後の状況がわからないため、パスするのをためらうでしょう。
あなたがカットインしたプレイヤーからパスをもらえない場合、まずブラインドエリアにいないかを確認する必要があります。ビジョンエリアにいることが、パスをもらうための最低条件だと覚えておいてください。ですが、これだけではパスをどんどんもらうことはできません。
もう1つのことに注意しなければ、カットインしたプレイヤーはあなたにパスを出すことをためらうのです。では、1つ考えてみてください。カットインしたプレイヤーがパスを出そうと思ったとき、一番恐れるのは何でしょう?
答えは「パスカット」です。あまりにも当たり前の答えで、驚いたかもしれませんね。カットインしたプレイヤーは、パスカットを恐れます。それは、この状況でのターンオーバーはほぼイコール、速攻を意味するからです。バスケットボールにおいて、ターンオーバーと速攻は、できる限りなくさなければいけないミスです。その両方をみすみす犯すようなマネは、だれだってしたくありません。
ですからカットインしたプレイヤーは、パスを出す相手として、もっともパスカットされないであろうプレイヤーを選びがちです。 チャンスになるかどうかは、2の次になってしまいます。
このことからも、あなたがチャンスメイクをしようと裏に動いても、パスが確率が低いことがわかるでしょう。ですから、あなたはカットインしたプレイヤーからパスをもらうために、
 ・ビジョンエリアにいること
 ・パスカットされにくい所にいること
の2つが重要なのです。 このあたりは、ビジョンエリアを意識すれば、すぐに動けるようになるはずです。
むずかしいのは、トップ付近(バスケットの正面に近い所)にいて、自分のマークマンがヘルプにはいかず、2線気味にディフェンスした場合でしょう。この場合、定石となるのは、ボールマンがカットインした方向側のウィング側に寄るという動きです。
この動きをすれば、カットインしたプレイヤーの前方視野(正面を向いた状態のまま見られる視角)に入ったままでいられますし、マークマンの背中側に動くことになるため、ボールマンとしてもパスカットの心配が減ります。もちろん、これは各プレイヤーがよくある動きをした場合ですので、状況によってはこの限りではありません。たとえばトップ付近にいて、自分のマークマンがかなりヘルプ寄りにディフェンスした場合は、むしろカットインとは逆サイド側のウィング側に寄って、インサイドアウトのようなプレイを目指した方が、いいこともあります。
 ・ビジョンエリアにいること
 ・パスカットされにくい所にいること
を念頭に置いて、プレーしてみてください。

オフボールオフェンスを動かす練習
エルボーとローポストの2対0から2対2
オフェンスのエルボーから始める。動ける場所はエルボーとローポストの4ヶ所。ドリブルなし。最初はディフェンスなしで行い、動きが分かったところでディフェンスを入れる。ディフェンスは普通につく。オフボールオフェンスは、動かないとボールをもらえないので、空いている場所に動いてボールをもらう。これを5~10本程度繰り返してからシュートする。シュートは場所を問わない。


6か所の3対0から3対3
上の2対2と同じルールで動くが、6ヶ所のスペースを3人で動くことになる。今度はオフボールオフェンスが2人になる。パスをする人・ボールをもらう人・どちらでもない人の3種類の選手がいることになる。お互いに協調しながら動くことになる。状況判断をしなければならない。また、動きも複雑になるため、声を出さなければならない。攻撃するスペースを作ったりスクリーンをしたりして、味方の攻撃のサポートをするために自由に動きを要求する。

アウトサイドの3対0から3対3
上と同じルールで動くが、今度はアウトサイドばかりなので、連続したカッティング技術が中心となる。カッティング技術でアウトサイドを動くが、同じスペースに重なった時は、後から来た人がスクリーンをすることを基本とする。同時に複数のオフェンスがリング近くにいないこと、カットインした場合はすぐにカットアウトすることなどを注意することと長いシュートを狙うことが必要である。


ハーフコートの5対0から5対5
ウイングの合わせの練習である。ドライブインから、前方、斜め、横、後ろに動く。実際には、全員が合わせの位置に動けることはなく、セフティー等の必要なプレーにまわることになるが、声を出して知らさなければならない。慣れてくればディフェンスをつける。
トップの合わせの練習である。例は右手側を抜いたところである。ショートコーナーの選手の動きは、自分のディフェンスがカバーに行ったときの動きである。
 カバーが来て閉じられたコースに詰まってからではパスが出しずらい。視野を保ってカバーの選手の動きの逆をつくようにパスするのがよい。また、カバーが来た方向へ合わせるのが原則であるが、ローテーションでインターセプトを狙いにくる場合もあるので大きな声を出して知らせなければならない。





2017年7月10日月曜日

速攻・トランジッション


オールコートのパッシングプレーはどこのチームでも行っている、ツーメンズダッシュとかスリーメンズダッシュとかいうものです。速く走る他に、味方のスピードを生かすパス、スタートのタイミングの取り方、ディフェンスを考えた動きなどやることはいくらでもあります。ただ走ってシュートを打つだけの練習ではなく、試合のシチュエーションや速攻を理解しなくてはなません。

特に大切なのは、速攻の目的を理解することです。よく練習では「もっと速く走れ」とか「リードパスをしろ」とかの指示が出ると思います。それ自体は間違いではありませんが、速攻の方法論です。速攻の目的は、得点することです。当たり前だと思うでしょうが、例えば速攻練習の途中でフラッシュを入れたり、サイドから逆サイドへ流れたり、アウトレットパスからクロスしたりするような場合はどのようなシチュエーションか理解して練習していますか。練習で大切なのは、理解と判断です。

速攻の目的
速攻は、ディフェンスからオフェンスに切り替わったとき(下の「速攻を出せる状況」参照)に素早く攻撃に移り、オフェンスがディフェンスより数的に有利なアウトナンバーの状態(3対2・2対1・1対0など)を作って簡単に得点するのが目的です。従って速攻をより効果的にするのは、アウトナンバーの攻撃の練習です。

速攻を出せる状況
ディフェンスからオフェンスに切り替わった時、速攻が出しやすい場面は、下記の通りです。
(1)パスのインターセプト
(2)ボール保持者のドリブルや相手が保持しているボールのスティール
(3)リバウンド
(4)シュートを入れられた後(但し、第4ピリオド残り2分以降を除く。※ミニバスにはこのルールがないところもある)
上記の状況は、(1)から順に、オフェンスからディフェンスへの対応が遅れるため、得点しやすくなります。また、インターセプトやスティールは、攻撃するリング(相手のリング)に近いほど得点しやすくなります。
オールコートのプレスディフェンスは、インターセプトやスティールを狙い短時間に高得点するためのディフェンスといえますが、相手チームの技術が高まるとスティールやインターセプトが困難になります。プレスディフェンスを行うときは、この時にどう対応するのか準備しなくてはなりません。

コートの区分けとフロアバランス
アウトナンバーを作るには、選手ひとりひとりが、自分・味方・相手がどこにいて、自分が何をすべきかを判断しなければなりません。そのためには、コートを区分して、自分はどこを走るのか、何をする(シュート・パス・ドリブル)のかを理解するのが大切です。その理解はひとりよがりのものでなく、全員が理解できるものでなくてはなりません。そのためには、練習の中で、お互いにプレーを理解しどう判断するかを共有することが大切です。
コートの区分方法はいくつかあります。
 ①内側からミドルレーン・トレーラーレーン・サイドレーンと、全面を縦の5つのレーンに分けるもの。
 ②内側からミドルレーン・サイドレーンと言い、全面を縦の3つのレーンに分けるもの。
 ③各ハーフコートを縦横3の格子で9に区分し、全面を18のゾーンに分けるもの。
 ④コート内にいくつかのスポット(小さい場所)を設けるもの。スポットからスポットへ走り抜けてプレーします。
いずれの考え方を採用するとしても、コート全面の選手のバランスをとらなくては、速攻が失敗に終わった時に、逆に速攻をしかけられるかも知れません。

リバウンドからの速攻 フロアバランス アウトレットパス
速攻が試合で最も多く発生するのはリバウンドからです。シュート率はかなり高くても、ワンサイドゲームにでもならない限り、3割を超えることはほとんどありません。残りの7割をどう速攻に結び付けるかがここでのテーマになります。リバウンドと勝敗の関係は、リバウンド総数で多く取ったチームの勝率は7割、この内オフェンスリバウンドよりディフェンスリバウンドの獲得率がより勝利に影響するという研究が発表されています。

(1) ディフェンスのフロアバランス
速攻を出すには、素早い切り替えが重要です。味方がボールを保持した瞬間に自分がどこへ走り、何をするのか判断するために、ディフェンスを行っているときから、自分がコート上のどこにいて、ボールがどこにあるのかを常に把握しておかなければなりません。簡単に言えば、今シュートがあったら自分は何をすればよいかを、常に考えておかなくてはならないということです。これはやれと言ってできるものではありません。そのための練習が必要です。それをしないチームは全員がシュートが落ちてくるのをぼやっとボールを眺めていることになります。

(2)スクリーンアウト
リバウンドを確実に取るためにスクリーンアウト(ブロックアウト、ボックスアウト)を徹底します。相手のリバウンド人数に応じてスクリーンアウトをします。ディフェンスの時は3人で三角形を作りスクリーンアウト、1人はアウトレットパスがもらえる位置に動き、一人は前に走るのが効率的です。

(3)アウトレットパス
リバウンドをゴール下で取った場合、その周辺は人が多く密集しているため、素早くアウトサイドへパスを出します。昔はボールを取ったサイドへパスすると言われていましたが、今は空いている方へパスするのが良いとされています。
また、ノーマークの味方がオープンスペースを走っている場合は、パスを出します。また、自分にディフェンスがついていなかったり、ぬけるほど近い距離でついていたり、全てのレシーバーがディフェンスにパスラインを切られたら、ドリブルを選択します。
パスかドリブルかは、状況によって判断しなければなりません。したがって、リバウンドを取った瞬間に周囲を見て何をするかを判断します。

速攻のアウトレットパスについて
リバウンドをとったとき、あるいはシュートを決められてスローインするとき、パスしやすい場所としにくい場所があります。左図は、私が大学のときに先生に教えてもらいました。

まず、ボールを持ったときに、このスペースのどこにパスを出して、自分は次にどこに動いてボールをもらえばよいかを考える図です。 当時と比べると、戦術など多くのものが違いますし、大体、どこにパスを出すのかわかっていればパスカットを狙いやすいということもあります。しかし、プレーを行うときに参考になると思います。

アウトナンバーとタイトナンバー
オフェンスがディフェンスより人数が多い場合をアウトナンバーといい、同数の場合をタイトナンバーと言います。速攻の場合にはアウトナンバーになることが多く(アウトナンバーをねらっているので)、速攻が上手くいかなかった場合はタイトナンバーが多くなります。タイトナンバーに一時なった場合でも、後続のプレーヤーによってはアウトナンバーになることもあります。また、速攻がうまくいかない場合でもアーリーオフェンスを設定しておけば攻撃可能です。自分たちが試合の中のどの部分の練習をしているのかを理解することが大切です。

オールコートの練習はディフェンスからオフェンスを行うものと、オフェンスからディフェンスを行うものの2種類があります。ディフェンスからオフェンスを行うものはセットオフェンスやディフェンス中心の練習、オフェンスからディフェンスを行うものはトランジッションの速さの練習のために行います。

トランジッションの意味
トランジション(transitions)とは移行や遷移という意味です。バスケットボールでは「攻守の切り替え」という意味で使われています。トランジッションの速さは、当然、速攻のシチュエーションに大きく関わります。オフェンスへのトランジッションの速さは速攻のチャンスになり、ディフェンスのトランジッションの速さは、速攻の防御だけでなく速いピックアップなどによってオールコートディフェンスを行うことができます。

速攻はオフェンスが使えるスペースが広く、数的に優位ならイージーシュートのチャンスが確実に増えます。速攻は上背のないチームや格下のチームが勝利を目指すうえで欠かせない戦術です。だからトランジションを頑張ろう、という指示が多くのコーチの口から出ます。
しかし「トランジションをしろ」という指示で選手がイメージするのは、全力で攻め全力で守るという、全力ダッシュで構成する激しいバスケットボールです。もしかしたら、コーチもそのようなイメージを持っている人がいるかも知れません。このイメージが間違いを引き起こします。

「トランジションに力を入れる」とは、攻防の切り替え自体を速くすることであって、相手コートに全力でダッシュしたり、自陣に100%の力で戻っていくことではありません。バスケットボールのコートは短く、速攻のシチュエーションを作れるかどうかは、足の速さではなく、スタートの速さで決まってしまいます。
50メートル走で1秒差というのは50mを10秒で走る選手(多くの選手はもっと速いですが)でも5m、0.5秒で2.5m、通常の条件反射の速度である0.3秒(オリンピック選手で0.2秒位)なら1.5m(オリンピック選手でも1m)の距離となるからです。これと同じ理屈で、速攻が成立するか防げるかという問題は、足の速さではなくスタートの早さ、相手より少しでも早く走り出せるかで決まるのです。
だからトランジションを早くしたいのなら、往復ダッシュする練習よりも、スタートの速さの練習が必要です。オフェンス・ディフェンスの攻防の中での判断力と、それに対する反応を鍛える練習をしなくてはなりません。しかしその前に、オフェンスとディフェンスのトランジションについての注意点を考えましょう。

トランジションの注意点、コツ
スタートの早さとは、オフェンスからディフェンス、ディフェンスからオフェンスへの移行の早さということです。この2つのシチュエーションにおいて、前に述べたように特に大切になるのがリバウンドの判断力と反応です。あなたがオフェンスでもディフェンスでも、ボールの所有権が移った瞬間にそれを判断し、反応しなければなりません。そのためには、リバウンドからアウトレットの速さ、オフェンスが前に飛び出す速さ、ディフェンスが相手を捕まえる速さ、ここは速攻の成否にかかわるところですので、全力でプレーしなくてはなりません。

ディフェンスからオフェンス
ディフェンスからオフェンスの切り替えについては、最も速攻を出しやすいディフェンスリバウンドからの速攻を意識してみよう。相手のシュートが外れたら、まずは自分のチームのリバウンダーがボールを保持できたかを判断しましょう。これは予想して判断を速くするためのいくつかのコツがあります。
1つは味方ディフェンスがスクリーンアウトをしっかりと行なっているかどうか。もう1つはシュートがどの位置から放たれたかを見ることです。リバウンドは半分がシュート位置から逆方向に落ちる傾向があります。このことを意識しておけば、逆サイドのリバウンド争いが優勢かどうかに注目することで、「スタートを切れそうだ」という予想を立てることができ、結果コンマ何秒かの早いスタートを実現できます。この予想が正確にできるかどうかで数mの差がつきます。
また、シューターにプレッシャーが掛かるような激しいディフェンスができていることも大切なポイントです。いい形でシュートを打てないチームは、オフェンスリバウンドに力を入れる傾向にあります。相手はオフェンスリバウンドをとろうとゴールへ殺到するでしょう。ここでスクリーンアウトが威力を発揮することになります。相手のセフティーが薄くなっていることが多いので、リバウンドから速攻を出しやすくなります。十分な練習を積んでいれば、「チャンスだ」という意識だけで、スタートは早くなります。
ディフェンスリバウンドを奪ったら、はじめの3歩を必死でスプリントしましょう。100メートルを全力疾走するのではなく、はじめの3歩だけ頑張ればいいのです。バスケットボールのコートは短いため、はじめの3歩を踏んだ時点で、速攻が出そうかどうかというのは判断ができます。 ディフェンスが自分の加速についてこれない場合は、ボールを要求しながら、そのまま5歩めまで全力で加速しましょう。この時点でボールが飛んでくれば、簡単なシュートを打つことができます。相手の戻りが早く、速攻が難しい場合は無理して頑張らずに、アーリーオフェンスのシチュエーションに移行します。無駄に全力疾走で体力を使い切る必要はありません。
ディフェンスリバウンドからの速攻が意識できるようになれば、得点を決められた時にもこちらがボールを奪った時にも、反射的に走りやすくなります。ランプレイの意識が高ければ、敵陣のスペースを見逃さず、走り込んで攻めることができます。

オフェンスからディフェンス
オフェンスからディフェンスへの切り替えが起こるのは、ターンオーバーとディフェンスリバウンド、こちらが得点をした時の3つです。このうちターンオーバーはファンダメンタルやスキルの問題ですので、突発的でなかなか予期できませんが、ディフェンスリバウンドと得点時に関しては、状況を想定した練習ができます。
こちらがオフェンスからディフェンス側になった瞬間、相手チームはまず必ず速攻を狙ってくると思わなくてはいけません。そこで大切なのは
 「1.まず戻るために瞬間的に走りだすこと」
 「2.マークマンを発見し、正しいポジショニングを取ること」
 「3.ボールを見て状況を把握すること」
の3つです。これは1.2.3の順番に大切です。このときも相手の速攻を防ぐために、初めの3歩を意識することが大切です。
この3つが揃ってディフェンスへのトランジッションがうまくいきます。最悪なのは、ぼやっとしてから全力で、ゴール下へとダッシュする戻り方です。早く反応し、次のプレーを知っていれば、こんなに疲れる非効率なやり方をしなくて済みます。3つの注意点を自分が守れているか、チェックして下さい。

また、相手チームがディフェンスリバウンドを取る前の行動を確認してみることにも価値があります。たとえばオフェンスリバウンドをとろうとしてゴール下まで潜り込んでしまうと、相手ボールになったときには、必ずコート上の選手の中で最後尾から自陣に戻らなくてはいけなくなります。また、ボールをとれる目算もなく飛び込みリバウンドで大きく飛んでしまうと、同じく戻りは遅くなります。
この他に、ハイポストのディフェンスリバウンドは速攻が生まれやすく(プレッシャーがかけにくい+センターからの速攻の練習が多い)、トランジションの早さということに着目すると、リバウンドの技術を確認しておくのも大切です。

トランジッションの意識
これまで書いてきたようにトランジションは、身体能力ではなく意識の問題です。もちろん体力や技術がなければ、よいスタートを切るのは難しいでしょう。しかし相手と同等の体力があれば、トランジションは日頃からの意識と習慣にかかっています。意識は練習の質(理解と判断)で、習慣は練習の量(繰り返しの練習量)によって作られます。

速攻の練習方法
ストップターン型の折り返しダッシュ(ドライブをイメージして行うなら、ドリブルしながら行います。この場合は左右両方の手を使ってドリブルするようにします)

(1)ダッシュからコーチの笛で方向を変えて逆方向にダッシュします。左右の足どちらでもストップできるようにしておきます。この練習の応用として、フロントターンだけでなくバックターン、キックターン、バックランを行います。また、ドリブルしながら行うこともできます。

(2)一般にシャトルランと呼ばれているものです。ベースラインから始めて、ファウルライン(1/4)・センターライン(1/2)・向こうのファウルライン(3/4)・向こうのベースライン(1/1)の4か所でターンして各々スタートのベースラインまで戻ります。

(3)シャトルランを、1/4・1/2・3/4・1/1・3/4・1/2・1/4と7か所でターンするものです。
 シャトルランの応用としてフロントターンだけでなくバックターン、キックターン、バックランを行います。また、ドリブルしながら行うこともできます。

上はルーズボールからのドリブルシュートです。コーチ(別に誰でもいいんですが)が選手の背後からボールを転がしそれを拾って反対側のリングにドリブルシュートします。相手がボールをこぼしたり、キャッチミスをしたりするのを想定しています。この練習の応用として、前向きのルーズボールを数回して長いボールをドリブルシュートします。
下はパスカットからのドリブルシュートです。コーチがカットできる位置にバスを出して、選手はそれをカットし、そのままドリブルシュートに行きます。カットしたのをそのままドリブルするのはできれば避け、一旦ボールを両手でとるのが他のプレーにも応用できていいと思います。応用としては、全てのパスをインターセプトするように動いて、自分のインターセプトできる距離を測る練習があります。

上は通常の2線です。中央からパスを出して、サイドがシュートを打ちます。通常はパス3つでシュートとなります。この練習の応用では、2歩目でパスを出す、外側の足でもらって内側の足でパスを出す。速いパスを4つか5つかにする、パスの指定をする(片手・バウンズなど)・周縁視野を使う、などがあります。中にはダッシュと大きなリードパスのみでプレーを構成し、2パスでシュートに行くものもあります。その他、シュートをレイアップでなくジャンプシュートにするものもあります。
下はクロスの2線で中央のパスを出した人がサイドまで走り、ボールを受けた人はドリブルで(1~3つ)前にロングパスします。前の人はキャッチしてシュートします。ドリブルする人は、試合では逆方向からの攻撃があることを意識して、ミドルエリアからパスをします。この練習の応用では、シュートをジャンプシュートに変えるものりがあります。

上下ともに上の2線と同じ動きですが、シュートにディフェンスがついてきた状況を考えて、フリースロー付近にリターンパスしてジャンプシュートです。






上はボールもらいにVカットを用いたもので普通の2線型、下は交差しながら走るものでパスは縦横の特徴的な動きになります。応用としては、Vカットを他のカットに変えるのがあります。速攻というよりは、プレスダウンの基礎練習みたいな感覚でやってました。


バックコートサイドからのスローイン。ボールをもらいに行くのは、Vカットとフラッシュを合わせたもので非常にカットしにくい。スローインした人はダッシュして自分のディフェンスを振り切り、シュートまで持っていく。大切なのはカットインのコースに他の人が入りこまないこと。

これは、プレスディフェンスを念頭に置いた2線のプレスダウンです。ダブルチームは後方のプレーに弱いので、ダブルチームに合うと、すぐに後ろの味方にパスをして逆サイドへとドライブします。実際にはどこかで縦に抜けたり、内側の味方にパスできるようになるので、視野を広げなければなりません。同様の観点でリトリートドリブルでダブルチームをぬく方法があります。

通常の3線です。中央からパスを出してまたパスをもらい反対側にパスするのですが、一番前にいる人は誰か判断してパスするようにしています。応用では、パス速度を早くして4~5つのパスをするもの、2つ目のパスを真ん中を経由せず反対サイドへ出して、2パスで行う方法などです。また、パターンをなしにして、一番前に走っている選手にパスするというのもあります。

・上記の3線からシュートを打った人をディフェンスにして、帰りは2対1を行います。


これは、通常はシュートを打たない2人にもシュートを打つ練習を合わせたものです。シューターにパスする人の場所を変えると変化が出ます。





側線式の速攻からダブルカットインするものです。上はコーナーからダブルカットインにパスをいれるもの、下はコーナーに行かずに適当な所からフラッシュしてパスをつなぐものです。応用としては、シュートのパスを指定しない(3人の内誰が打っても良い)方法、途中の速度を落としてまた速度を上げる方法

ウイーブ(クリスクロス)と呼ばれているものです。パスした相手の後方を通過するため、前にゆっくり進むほど選手は良く走っていることになります。(手抜きは別です)大体、10回以上はパスして欲しいところです(練習ではサイドラインを踏むまで走りましょう)。

これもウイーブの1種ですが、ドリブルした後に、自分の体でスクリーンを作り、後ろを通過する味方にパスするプレー(トレイル:アウトサイドスクリーン)を行います。






これは、バックコートのサイドスローインでディフェンスが出てきたことを想定したカウンター型の攻撃です。真ん中の選手はVカットからフラッシュします。スローインをした人はすぐにダッシュします(ボールをちらっと見る間に走りぬけます)。ボールと逆サイドはディフェンスが3線から2線に変わりますので、オフェンスに寄ってきます。この時に逆方向をついてディフェンスの背中側に出ます。
コートの中央付近でボールを持つと、最初のカットイン2つ目のカットインに合わせてパスします。字で書くと長いですが実際には、パスを投げてからセンターまでつなぐのは、一瞬の間に行います。

これは、フリースタイルのボール運びの技術で、3人がよく理解し、かつ適切な判断を行わなければ成功しません。ボールを頂点とした三角形を連続して作っていくもので、これを4人で行った場合(四角形を作り、縦・横・斜めにレシーバーを配置する)、マンツーマンプレスでもゾーンプレスでも運べるオールパーパスのオフェンスになります。

このオフェンスはサイドライン沿いに縦に繋いでいくもので、アメリカではファイヤーカー(消防車のこと:連なって走るのが消防車に似ているらしい)と呼ばれています。
利点は、相手が一方向からしか来ないので視野が広くなることです。欠点はサイドライン沿いはトラップがかかりやすいため、相手のバックが速い場合は、トラップされる危険性があります。




2017年6月30日金曜日

マンツーマンディフェンスの基礎

カレッジバスケットボールにおけるチームプレーの教則と言るケンタッキー大学のコーチ、アドルフ・ラップによる「ディフェンシブ・プレー7つの基本原則」というのがあります。 以前に「ディフェンスファンダメンタル(ポイント):後述」を提唱していますが精神的(抽象的)だったのに対してこちらは具体的(実戦的)な内容となっています。 ディフェンスの理論としては非常にいいものだと思います。まず、ディフェンスフットワークの前にディフェンスについての理論を紹介します。

<ディフェンシブ・プレー7つの基本原則>

1、相手のシュート数を減らす
オフェンスを成功させるためには「とにかく多くのシュートを打て.そうすればその成功率は自ら高くなるものである」と一般的にいわれています。これは真実です。だからディフェンスが最初に意識することは、相手チームのシュート数を減らすということでなければなりません。

2、確率の低いシュートを打たせる
プレーヤーには「ディフェンスは常に激しく、粘り強く」と指導しなければなりません。ハードで体力がいりますが、そのような守り方を好むプレーヤーは多いものです。
相手をあせらせバランスを崩した不正確なシュートを打たせるようにすれば、相手のシュート成功率は必ず低くなります。これが「パワフルでタフなディフェンス」であり「甘いディフェンス」との違いです。

3、バスケットから約5~6m以内のエリアでプレーさせない
これは、インサイドを固めるディフェンスの考え方を簡単に示しています。バスケットから18フィート(約5.5m)の地点に円を描き、その内側のオフェンスをすべて封じることができたら、リバウンドはすべて確保でき、きわめて楽なディフェンスが可能になります。現実には不可能であることは分かっています。しかし、それでもバスケットの近くでシュートさせてはならないという考えは正しいはずです。プレーヤー達がこの考えをしっかり受け止めてくれたら、それを達成するために努力してくれるでしょう。

4、相手のセカンドシュートを減らす
優れたディフェンスとは相手に第2、第3のシュートを許さないことです。簡単にリバウンドを取る方法はなく、他のプレーと同様に正確に相手と競り合いながらプレーしなければなりません。リバウンドを取るためにはシュート後、まず、自分のマークマンをスクリーンアウトして、飛び込まれないようにしてからボールをとりに行きます。リバウンドが強く、上手なチームは、チームが一体となってリバウンドを獲得します。

5、簡単に得点されることを減少させる
①取れそうもないボールを狙ってインターセプトをしようとした(ギャンブルした)ために、簡単なシュートを決められ、しかもそれまでの緊迫した試合が台無しになってしまうような場合。
②得点された後のベースラインからのスローインですぐにインターセプトされて、イージーシュートを打たれるような場合。
③目的のはっきりしない不注意なプレーによってルーズボールとなり、それを拾われてイージーシュートを打たれるような場合。
④相手のフリースローの失敗の後、スクリーンアウトしないためにリバウンドをとられてイージーシュートを打たれるような場合。
これらは相手チームが最小限の努力で得点することのできる、チープバスケットといわてれる悪例です。
ときには不注意であり、あるときには悪判断によるものです。実力のほぼ同じチーム同士の対戦では接戦のときに、このようなチープバスケットによって勝敗が決定されるものです。

6、ロングシュートを甘くみない
ボールがアウトサイドを回されているときでも、ボール保持者をマークするディフェンスは、常にタイトにマークしなければなりません。よいディフェンスの主な二つの条件は、シュートの数を減らすことと、楽にシュートを打たせないことです。例えばロングシュートの上手いプレーヤーにノーマークシュートを許すことは、上記の条件に反するわけです。そうならないためにも、ボール保持者には常に注意してマークしなければなりません。

7、ポストマンへのパスを防ぐ
アウトサイドのプレーヤーにはある程度ボールをもたれてもかまわないが、ポストプレーヤーには絶対にもたせないようにディフェンスします。もし、ボールをもたれると、相手は楽々とスクリーンを使うことができるし、フックシュートやジャンプシュートを打つことができます。また、フェイクして逆サイドにカットしたり、スクリーン・アウェイをしてノーマークになったり、カットインしてくる味方にパスもできます。このように、ポストにボールが入ったら、ディフェンスにとって大変危険な地域にボールがあることになります。

チーム内の練習においてもディフェンスのレベルを上げると、オフェンスのレベルもより上がります。

ディフェンスファンダメンタル(ポイント)
ディフェンスは、オフェンスと比べると能力に頼る部分が少なく、誰でもがグッドディフェンダーになれる可能性を持っているものです。しかし、ただ漠然とディフェンスに取り組んでも、決して上達していくものではありません。オンボールディフェンスをメインに、上達のために心掛けてもらいたい、強化のためのキーワードを紹介します。

・アティテュード(Attitude)
何もディフェンスだけに限ったことではありませんが、取り組む姿勢や意欲といったことが、その成否や向上の度合いに大きく影響してきます。また、試合で頑張ることはもちろん大切なことなのですが、試合でだけ頑張っても、いい結果が出るわけではありません。日頃の練習から努力を惜しまず、真摯な姿勢で取り組んでいくことが、何よりも重要なのです。

・メンタルタフネス(Mental Toughness)
ディフェンスにおいては、攻撃を仕掛けてくる相手の動き一つひとつに、忠実に対応していかなければなりません。このように、基本的に受動的なディフェンスを頑張り続けるためには、技術的な面ももちろんですが、強い精神力と集中力が必要です。「辛いディフェンスを頑張ることで勝利が得られる」ことを理解し、最後まで頑張り通す決心をして臨みましょう。ただ、現実は辛いだけでもありません。ディフェンスの成功を経験することで、辛いはずのディフェンスも楽しく感じられるようになるはずです。

・インテリジェンス(Intelligence)
基本的に受動的な動きだからこそ、より効果的な守り方の知識を得て、技術を的確に利用していくことが重要です。知識を得、経験を積み重ねていくことは、状況を瞬時に、かつ正確に判断し、相手の動きを予測する能力へとつながっていきます。身体だけでなく、頭脳もフル回転させて取り組みましょう。

・アンティシペーション(Anticipation)
受動的とはいえ、ただ単に相手の動きを追っていくのではなく、相手の動きをあらかじめ予測した上で、その動きに対応していくことが成功のポイントです。常に相手チームやマークマンの状況を観察しながら、その動きを予測し、備えておきましょう。

・ビジョン&トーク(Vision&Talk)
正しい判断を導くためには、多くの情報が必要です。そのためには視野を広くとることが重要なポイントとなります。また、眼では得られない情報を得るためには、チームメイトとのコミュニケーションが大切です。チームメイトと必要な声を掛け合うことは、情報交換のためだけではなく、互いのプレーの連携をスムーズにし、オフェンスに対してプレッシャーを与えることにもつながります。

・ノーギャンブル(No Gambling)
戦術的に、積極的に相手のボールを奪いに出ることはありますが、基本的にボールを奪い取ろうと狙い過ぎることは、賭けの要素が大きく、相手のイージーチャンスを増やしてしまうことにつながります。個人においても、チーム全体としても、ボールを奪うこと自体よりも、ディフェンスのバランスを崩さないことを中心に考えてプレーすることが、相手にプレッシャーを与えつづけるポイントとなります。


・コンフィデンス(Confidence)
中途半端なディフェンスほど、オフェンスにとって楽なものはありません。抜かれることを恐れず、相手にプレッシャーを与え続ける最大の努力をしましょう。コート上には4人のチームメイトがおり、カバー(ヘルプ)の態勢も整えてくれているはずです。自らが最大限の努力をした上で、仲間を信頼することがチームプレーです。

ディフェンスフットワーク
ディフェンスフットワークはディフェンス時の足のさばき方です。ここでは、いわゆるディフェンスフットワークの他にスタンスや集団の動き、スクリーンの対応などについて述べます。

ディフェンスでの「一歩の準備」

1.オンボールディフェンスの場合
相手とゴールの間で、腕1本から1本半の距離をとり、インライン(ボールとリングを結んだ線)をまたぎます。相手の動きに対していつでもこの位置関係を崩さない限り、抜かれることはありません。
次に相手の足を意識します。相手は必ずフリーフット(ピボットフットの逆の足)の方向に抜いて来るので、どの方向へ動くかを予想することが大切です。
相手がフェイクなどで、シュートスタンス以上に前に踏み込んできたときは1歩下がり、シュートスタンスに戻った時にフォワードステップ(細かいステップで距離をつめる)で元の位置に戻ります。前に踏み込んだ状態からすぐにシュートを打たれることはないためです。
しかしこれでは、相手の動きを追うことになり、どうしても後手をひきます。そこでディフェンスの左右にぬきやすいとぬきにくいサイドを作ります。これをディレクション(方向づけ)といい、サイドに追い込むディフェンスをファンディフェンス、中央に追い込むディフェンスをファネルディフェンスといいます。通常はサイドラインで詰まることがあるためファンディフェンスを行います。

2.オフボールディフェンスの場合

2線は、ボールマンが体を自分側に向けているときは、自分の方にパスをする可能性が高いので、ディナイで激しく守るか、ドライブを読んだ時はオープンでカバーとパスカットを両方できる位置へ動きます。ボールマンが逆サイドに向いた瞬間オープンスタンスに変え、すぐにヘルプポジションに行けるように準備します。ディナイディフェンスで守っている限りパスは飛んできません。レシーバーとの間にディフェンスの手が見えるからです。オープンディフェンスでは真っ直ぐにレシーバーが見えるのでパスが来る可能性があります。すなわち、パスを投げささないならディナイ、インターセプトを狙うならオープンに構えますが、かけひきの範囲に入るため、自分の狙いをはっきりして相手の狙いを潰すようにしていきます。

3線は、ボールマンと自分の相手を指でさして、両方見える位置へ動いて、フラットトライアングル(平らな三角形)を作ります。ボールと相手の動きで細かく位置を変えます。3線の役割はマッチアップとカバーリングです。オフェンスの動きによって細かく位置を変え、ボールカット、カットイン阻止、カバーリングができる位置を確保します。

3.プレスディフェンスの場合

プレスディフェンスの場合は、ボールが動いていなくても、「ボールマンの体の向き」「ボールマンが振りかぶっているか(遠くにボールを飛ばしそうか)」などを、まず次のプレーを判断して、そのプレーに対する準備が必要です。また、声で情報を味方に伝えるとともに、相手を威嚇してミスを誘発しやすいようにしましょう。
これは、オフボールディフェンスにも言えることで、自分の方にパスが来ると判断したら、ボールカットできる位置へ動きます。また、自分の方に相手のドリブルが来た場合は、ピンチとローテーションのタイミングを合わせて飛び出しましょう。

小さいようですが、ボールが飛んでから動くのと、振りかぶった瞬間に動くのでは0.5秒くらい違います。0.5秒あれば、前後左右3mはカバー可能です。3mはおよそスリーポイントの半分の距離です。これが、大きく飛んだパスをとれるか取れないかの差になります。

練習法

ディフェンス・ポジション

2人組で相手にパスをして、次のプレーを練習する。
①ジャンプバック(後方に小刻みにジャンプして距離をとる)
②ジャンプボール(ボールが前に出ている時にボールをつかむ。場合によってはそのまま奪い取る)
③テイクチャージ(ドリブルしてくるコースに入り込んでチャージングを狙う。オフェンスは突っ込んでいくこと。お互いに倒れないようにすること。倒れた場合はけがをする確率が高くなるおよび次のプレーが遅れるため。)
④スティック(ドリブルが止まった時に相手との距離をつめ、プレッシャーをかける)
⑤ドリブルカット(ドリブルに対して、相手の手の下に自分の手を入れてカットする。手は振り回さない。手の平を相手の外側にしてカットした時は、真っ直ぐに追いかけるが、手の平を内側にしてカットをした場合は、相手と逆方向に回ってボールを追いかける。)

3人組で、次のプレーを練習する。
①ディナイディフェンス(パスコースに手を入れて、パスを入れさせない)
②オーバーディナイ(パスコースに肩を入れて、多少遅れてもパスを入れさせない)
③シールディナイ(ディナイの手の逆側の腕を曲げ、相手に密着させ、相手の動きに合わせて動く)
④インターセプト(オープンディフェンスから手を入れずにパスを入れさせカットする)
⑤センターのパスカット(サイドディフェンスからパスの構えでフルフロントに変わる)
⑥ダブルチーム(ドリブルが止まったところから2人でスティックする)

4人組で、次のプレーを練習する。
①ヘルプ・アンド・リカバリ(ヘルプに出た後、元のディフェンスに戻る)
②スクリーンの対応(ファイトオーバー・スライド・スイッチなど)
③エクスチェンジ(ジャンプスイッチ:ドリブルに2線がピンチして1線と2線のディフェンスを入れ替える)

フットワーク練習

①サイドステップ(ステップスライド)
②クロスステップ(ランニングステップ)
③ラングライドラン
④スウィング
⑤ジャンプバック
⑥クローズアウト
⑦サイド ー コース
⑧サイド ー クロス - サイド
⑨サイド ー クロス - ラングライドラン
⑩サイド - コース - コース

オールコート1対1

ポジションからの積極的なディフェンスと、適正なフットワークの使い方の練習。ディレクション(方向づけ)を行い、相手の不利な方向に誘導する。

ハーフコート2対2

1対1に加えて、ディナイディフェンス、パスカット、シャットザゲート、ヘルプアンドリカバリー、スクリーンなどの練習をする。

オール(ハーフ)コート2対1

2人のオフェンスを1人で守る練習で、リングに近い方のオフェンスの線まで下がる。ドリブラーにコースチェックのアクションをかけ、パスコースに入る動きをする。相手にオーバープレーを見せることによってドリブルを止めたり遅くしたりして、味方が戻るまでの時間を稼ぐ。相手にわざとプレーを見せることをショウディフェンスといい、迷ったような動きをヘジテーションという。この場合はほとんど同じ意味として使われている。

オール(ハーフ)コート3対2

上記と同じであるが、ボールマンに対してディフェンスがつけるため、ディレクションで方向づけして相手の苦手なプレーに誘導できる。また、2線目のかけひきとしてヘジテーションを行い、レシーバーを迷わせる。

用語の説明


パワーポジション

ひざを120度~135度に曲げ、ひざとつま先の方向が一致するように立つ。足は母指球を中心に使うが場合によってはかかとも使う。 バスケットボール・ポジションともいう。
背筋で体を起こし、頭の位置はつま先とひざを繋いだ延長線上に置く。
足は床を踏ん張るのではなく、軽く左右に動くように重心を調整する。

ヒール・トウ・スタンス

一番普通にとられるディフェンススタンス。相手から見て、足を少し前後にしてかかととつま先が同じ距離になるように立つためヒール・トウ・スタンスという。
前に出した足側が抜かれやすくなるが、前後の動きに対応ができる。
距離は腕1本程度で、前の手はボールチェック(シュートエリア内ではシュートチェック)し、後の手はパスコースをチェックする。 自信がある場合は腕半分、抜かれそうな時は腕2本分と距離の調整を細かく行う。
前に出した足側に抜いてきた時をスウィングディフェンスをとる。

ボックススタンス
ディフェンスに自信がある場合にとられるスタンス。足を肩幅より少し横に開き相手に向かい合うように立つ。
距離は腕1本から半分で、両手で激しくボールチェックする。
抜いてくる相手に対しては、ジャンプバックで対応する。

ディナイスタンス

ディフェンスにパスを持たせないようにするスタンス。パスコースにクロスするように相手に向かい合うように立つ。
距離は腕1本程度かまたはシールする。前の手はパスコースに入れるか、相手の視野に入れる。
ボール側の動きはバンプで止め、裏への動きは視野を切りながらラングライドランで追いかける。

オープンスタンス(ピストルスタンス)
カバーディフェンスを中心としたスタンス。ボールマンと自分の相手を指さし、少しボール寄りにかまえる。
ボールや相手の動きによって細かくポジションを変える。
ボールサイドカットにはバンプ、ブラインドサイドカットにはクッションディフェンスを行う。
リング下を通る相手に対しては、相手側を向くスライドディフェンスかボール側を向くハーフムーンディフェンスを行う 。

サイドステップ(ステップスライド)
スタンスを肩幅より狭めず、相手について行くステップ。相手の1歩に対して2歩の動きが必要である。通常は必ずインラインに体を置くようにしなければならない。体が斜めに動いて行くのは間違いで、体は必ずオフェンスに正対しなければならない。
また、足を出してから引っ張るように指導されることが多いが、動きが断続的になるため不合理である。 ディフェンスフットワークは全て重心の連続的な動きが必要である。通常は横への重心移動、時に斜めや後ろに重心移動を行うが、いずれも動いた先で、最初と同じ形を保つようにしなければならない。
サイドステップはコースチェックに入りやすいため、相手のコースを意識することが必要となる。

スウィングステップ

サイドステップの向きを変える時に使うステップである。一旦停止してから逆方向に動くのは間違いである。
向きを変える足でキックターンすると同時に、重心の逆方向の移動と相手を正面にとらえることによりコースを変える。
キックターンからの重心移動は大きく行い逆方向の1歩目を兼用する。
下半身、特に足首とひざに負担がかかりやすいので、スポーツ傷害に注意する。

ジャンプバック
相手と距離をとりたい時に行う、両足で後方へジャンプするディフェンス。
相手によっては、2回・3回と繰返して行う。大切なことは、ひざを伸ばしたままかかとで行わないことである。
この場合はひざの負担が大きく、十字靭帯損傷の恐れがある。

バンプ(コースチェック)

相手のコース上に入り込むディフェンス。接触する場合が多く自分だけでなく相手にもけがをさせないようにしなければならない。
バンプの場合(特にドリブラーの)は、チャージングをとることを意識する。ルール上、自分の動ける範囲で静止する。

クロスステップ(ランニングステップ)
相手に向いたまま、足を交差させるステップ。サイドステップを加速させるときに行う。 つま先と膝の方向を合わせないと膝の傷害を起こすことがあるので、注意する。
クロスステップで相手に追いつけば、サイドステップからコースチェックを狙う。

ラングライドラン
相手に後方へ走られた時に行うステップで、基本的にはランニング(ダッシュのことです)と同じ。
ボールを見ずに追いかけるため、両手を相手の視野やターゲットハンドの位置に置き、パスミスやキャッチミスをしやすいようにする。

クローズアウト

離れた位置からディフェンスを行うときに使うステップ
ボールが空中にある間はダッシュでできるだけ距離を詰める。相手がボールを保持したらジャンプのフェイクをかけ、すぐのシュートを牽制する。
相手がシュートを打たなかったら、ハーキーステップで相手によってプレッシャーをかけ、相手が抜きそうならジャンプバックする。

ステイロー
通常のバスケットポジションに比べて、ひざを90度前後にして低くかまえることである。
ひざをより曲げた場合は、左右の動きに対して遅くなるが、動かない相手に対してはよりプレッシャーがかかる。
また、ひざを曲げることによってジャンプが高くなるという研究もあるが、スポーツ傷害の危険も高くなるので注意が必要である。
ドリブルの停止、ダブルチーム、スクリーンアウトなどで使用する。

カバーリング(ヘルプ)
自分の相手のディフェンスを確認しながら、味方のディフェンスの手助けをすること
ヘルプアンドリカバリー(カバーした後自分のディフェンスに戻る)が基本。
自分のディフェンスを見失いがちになるので、周りのディフェンスはローテーションの準備をしておく。

シャット・ザ・ゲート
カバーリングしたオフェンスに対して2人でコースを押さえること。ディフェンス2人の間を開けないようにしなければならない。それでも突っ込んでくるオフェンスに対してはチャージングの準備をする。

ヘルプ・アンド・リカバリー
ヘルプに出た後、元の相手に戻ること

ピンチ
自分の相手を捨てて、他のディフェンスにつくこと。
抜かれた後のディフェンス、ダブルチーム、ローテーションなどのときに発生する。
ランアンドジャンプの場合は、ピンチを計画的に連続して行い、相手のミスを誘う。

ショウディフェンス
ボールディフェンスに一旦入ってから、パスのタイミング(体や目の方向で)を予測して、パスカットまたは次のディフェンスに入るプレー

ヘジテーション
ボールディフェンスをするか、パスカットを狙うかどっちつかずのディフェンスをして、相手を迷わせ、味方が戻るまでの時間をかせぐディフェンス。ヘジテーションは躊躇することという意味。

ダブルチーム
ボールマンに対して2人でプレッシャーをかけるディフェンス。昔は殆ど使われなかったが、ゾーンプレスが普及してから一般的になった。

エクスチェンジ(ジャンプスイッチ)
ボールマンの前にピンチし、ノーマークになった相手に、ボールマンについていたディフェンスがつき直すプレー。

ローテーション
いろんな場面でノーマークになった相手に対して、ディフェンスを一つずつずらすこと

スクリーンに対する動き

ファイト・オーバー

ファイト・オーバー・ザ・トップ・スクリーンという。スクリーナー(スクリーンをかけた人)とユーザーの間を通過するディフェンス。スクリーン・ディフェンスの中では一番プレッシャーが強い利点があるが、スクリーンにかかりやすい欠点がある。

インサイド・スライド

スクリーナーとスクリーナーのディフェンスの間を通過するディフェンス。ボールサイドではディフェンスのプレッシャーが緩くなることからあまり使われないが、ボールの逆サイドでは、ディフェンスがボール側に寄るため、一番効果的なディフェンスとなる。

アウトサイド・スライド

スクリーナーのディフェンスの後ろを通過するディフェンス。スイッチを拒否したい時にたまに見る程度である。

スイッチ

ユーザーとスクリーナーのディフェンスを入れ替えて対応する。一般的で容易にプレー可能であるが、ピックアンドロールやミスマッチの危険が残る。
従ってスイッチの場合は、下記のスイッチアップを行ってディフェンスを交代する時間を稼ぐ。

スイッチ・アップ

スイッチする際にスクリーナーのディフェンスがユーザーの直前まで飛び出し、激しくプレッシャーをかけるプレー。

シャドー
ディフェンスの影から次のディフェンスが出るプレー。時間を稼いでスイッチやダブルチームを行う。

アップ・アンド・ダブル

スイッチアップした後、レイトスルー(ユーザーと同じコースを通ること)して、ダブルチームを作るプレー。このプレーではスクリーナーにパスが行かないようにローテーションするため、チームディフェンスとなる。

ヘルプアンドローテーション

スクリーンが動き出したときに3人目のディフェンスが参加し、残りの3人を2人で守るプレー。パスが通りやすくなるのでトラップを用意しておく。

ゾーン
スクリーンに対して、シュートを捨て、ディフェンスラインをスクリーナーにするプレー。右のカットインには右のディフェンスが、左のカットインには左のディフェンスがつく。

マンツーマンの失点の原因を特定するディフェンスのチェックリスト

1.オフェンス時にボールの行方を把握し続けている
2.ディフェンスのスタートと同時に自陣へ戻りだす
3.戻りながら自分のマークマンをつかまえられる
4.一刻も早くバックステップを踏む
5.ピックアップできないのなら声を出して味方にフォローを頼む
6.台形の中などまで戻りすぎてはいけない
7.速やかにディナイポジションに入らなければない
8.シュートエリアでボールをもらわせない
9.ボールを持ったときに足元でチェックできている
10.まずシュートを打たれないように守る
11.ボールをもらわれた直後は密着して守り、その後に一歩下がるようにする
12.ドリブルをつかせることを心がける
13.相手のピボットフットから20cmだけフリーフット側にずれて向かい合う
14.ボールマンの軸足側の自分の手を、相手のおへその下辺りに差しいれておく
15.腰を落とし、上半身は立ててレスポンスのいい状態で守る
16.重心は足裏全体に乗る
17.フェイクに反応せず、相手がドリブルをつくまで動かない
18.ドリブルをついたら相手のコースに瞬時に入り込みプレッシャーをかける
19.全力のディフェンスフットワークに耐えられる足腰がある
20.マークマンの特徴を把握する
21.シュートを打つ寸前まで、可能なかぎり前に出てプレッシャーをかける
22.マークマンがシュートに跳んでからチェックに跳ぶ
23.ディフェンスリバウンドを怠らない




2017年6月18日日曜日

カッティング(カット)



カッティング(カット)はパスカットなどのように相手のボールを奪うことではなく、ここでは、ボールをもらう動きのことをいいます。単に真っ直ぐな動きから、複雑な動きをするものまで様々です。
バスケットボールではカットの技術はボールをもらうために必要ですが、ディフェンスを振り切ってアウトナンバーが作ったりに、ディフェンスを動かしてボールマンの攻撃方向にスペースを作ったりするためにカットを行うことが必要になります。勝手に思い付きで動き回っていても、ディフェンスを崩すことできません。一生懸命頑張りながらも頭は冷静に今どのようなプレーが必要なのか考えなくてはなりません。そのためにカッティングはチームとしてシュートを打つために大切な技術なのです。

カッティングの概要
カッティングには多くの種類があります。しかし、それぞれのカッティングの利点や欠点、使いどころや、やり方については選手間で異なる認識があったり、中には知らない人がいるかも知れません。
カッティングは全てのオフェンスの中で、ボールを持たないプレーヤーが行うものです。チームの共通した考えで攻撃するために必要なもので、いつどのようなカッティングを行うかということはチームによって異なります。オフェンスの中でどのようなカッティングをするかは、チーム全員の意識が共通していることが必要です。

カッティングをするときには、カッティングでボールをもらう場所がスペースになっているか、パスとカッティングのタイミングが合っているか(パッサーとレシーバー両方ともに合わせなくてはなりません)、カッティングのスタートにディフェンスのブラインドをついているかまたはフェイントを行っているか、などに注意が必要です。
ボールの味方も相手も全て動いている中でこの判断を行うのはかなりの練習が必要と思います。チームでいくつかのルールを決めておけば、この判断はかなり楽になります。必要なことはコート内の動向を見る視野です。

また、ディフェンスはパスコースを潰すために、多くの局面でボール側に寄ってディフェンスします。それは、動いているボールに意識が行ってオフェンスを見ていない場面ができたり、ディフェンスの思い通りの動きをしたりすれば簡単にフェイントにかかってしまいます。こういうプレーからチャンスを作っていくことが大切です。

カッティングの練習
カッティングの練習では次のことに気をつけて行いましょう。
 1.必ずディフェンスの動きを見て、効果的なカッティングをすること。
 2.大きな動きでカッティングを行うこと。
 3.一連の動作が終わった時にはリングの方向を向いていること。
 4.切り返しを行う場合は素早いターンを行うこと。

連続カットトップと左右ウイングで行います。
同じカッティングを連続して行う練習で、例えばVカットと決めたら、トップおよび左右ウイングでVカットをしながらパスを回します。タイミングを合わせてカッティングを続ける練習ですが、三角パスなどでも同じ練習ができます。

組合せカット一人ずつ行う練習です。
数種類のカッティングを組み合わせて行います。例えば、Vカット・フレアカット・トライアングルカット・フロントカットからシュートとのような組み合わせで進みます。コーチの発想で組合せはいくらでもありますが、組合せの種類が多くなると時間がかかる上に難易度が上がります。できれば、選手が簡単に覚えられて効果のある組合せを考えるのがいいでしょう。

パスキャッチからドリブルシュート
いろいろなカッティングでボールをもらいドリブルシュートを行う。

ランニングシュート
数々のやり方がありますが、リングに向かうカッティング(バックカットやフロントカットなど)の練習になります。また、シューターからパスを出してリターンパスでシュートする場合は、パッサーのボールのもらい方を指定することもできます。

オールコート1対1
最初のパスをもらうときに、いくつかのカッティングが必要になります。ディフェンスがディナイなどの厳しいディフェンスを行った方がボールをもらうカッティングの練習になります。

ハーフコート3対3~5対5
パスした後、オフボールの選手の動きと動いた後のスペースの使い方の練習です。そのためのスペースの作り方、パスした後のカッティングなどを主としてプレーを行います。

その他、多くのプレーでカッティングが必要になります。オフェンスはどのような状況であっても必ず誰かがカッティングしていなければ、うまく攻撃できません。手を抜かずにきちんと練習しなくてはなりません。

一般的なカッティングの種類
Vカット
バックカットに走り、ディフェンスが一生懸命追いかけてきたら突然方向を変えて、相手を遅らせ、元の位置でぼーるをもらう。相手がディナイをしている時には有効。

Lカット
ボール方向に動いて相手が、コースを止めに来たらシールして直角方向へ飛び出す。相手はシールされているのでボールに対するプレーが遅れる。

Iカット
Vカットの途中で、相手が振り切れなかった場合、もう一度方向を変えてリングへカットインする。相手の動きに注意する。相手がVカットにヤマを張っていた場合に有効。

フレアーカット
ディナイディフェンスに対してボールがもらえず、ローポストなどがいてカットインも難しいときに、0度に広がるようにカッティングする。Vカットしてもディナイされている場合に連続して行うことにより有効な他、スペースを作るために有効。

バックカット
相手がディナイしてきた時に、相手の後ろ側からリングに向かいカットインする。バックドアともいう。ディフェンスがディナイしているときに有効で、カッティングした後にスペースを作ることができる。

フロントカット
相手がザギング(離したディフェンス)している場合に、相手のボール側を通ってリングへカットインする。パスを入れるタイミングが多いが、カバーディフェンスも多くなる。カッティングした後にスペースができる。

スラッシュカット
ウイングにスペースを作りたい時に行う。通常はディナイの相手の後方を通る。カッティングした後にスペースができる。片側にオフェンスを集めてアイソレーションパターン(1対1でカバーしにくいオフェンス)が作れる。

Sカット
ウイングにスペースを作りたい時に行う。通常はザギングの相手の前方を通る。パスを入れるタイミングが多いが、カバーディフェンスも多くなる。カッティングした後にスペースができる。アイソレーションパターンが作れる。

トライアングルカット
コーナーからペイントエリアに切れ込むプレーを防がせ、ウイングに飛び出す。相手が防がないときはペイントエリアでボールをもらう。コーナーにスペースができる。

Cカット
コーナーのディフェンスが遅れていてリング下が攻められないときに、Cの形に動いてウイングまたは元の位置でボールをもらう。リング下に走り込んだり、ハイポストにフラッシュする変化があるので、ディフェンスの対応をよく見て最善のプレーを行う。コーナーにスペースができる。

フラッシュ
センターなどがボールに対して大きく飛び出すプレー。



ドロップカット
ハイポストからディナイの反対側の足を引いて回転し、リング下に走り込むプレー



UCLAカット
ハイポストをスクリーンにしてトップがカットインするプレーで、ボールサイドとブラインドサイドのカットがある。

シザースカット
シザースははさみの意味。ハイポストを中心に挟むように2人のガードが行うカットイン。
ループカット
ローポストを使ったVカットの変形カット。自分のディフェンスのいる側にローポストをループしてボールをもらう。スイッチしたらミスマッチになる。待ち伏せしたら逆サイドやハイポストへ動く。スクリーナーはスイッチに対してピックアンドロール、その他はディフェンスをシールした後、ピックアンドスペースに動く。

トレイル
横方向のアウトサイドスクリーン。ユーザーはスクリーナーの裏側でボールをもらう。この後、ユーザーのシュート・ドリブルイン、スクリーナーのピックアンドスペース・ピックアンドピック・リスクリーン(もう一度スクリーンする)などの攻撃がある。


スクリーンプレーのカッティング
ストレートカット
スクリーンの方向にディフェンスをブラッシング(ぶつける)カットの仕方。スクリーン後、ユーザーはスクリーンの直角方向に動く。スクリーナーはピックアンドロール(ライブ・シール・アウト・スペース)など。

カールカット(タイトカット)
スクリーンをファイトオーバーしてくるディフェンスを、スクリーナーを巻くようにブラッシングするカット。ユーザーはS字で目的方向に動くか、違うプレーをするかを選択する。スクリーナーはピックアンドアウトかピックアンドスペースが多い。

エクスプロージョン
ディフェンスがスクリーン側に寄っているときに逆方向へ走るプレー。止めるにはスイッチ以外になく、スクリーナーはピックアンドロールに動く。

スリップカット(アーリーリリース)
スクリーナーのカットプレー。スクリーンを予測して相手が待ち伏せする場合(よくある)、スクリーナーがスクリーンをかける前にリング方向へ動く。アーリーリリースともいう。但し、スクリーナーはこのチャンスが分からない(背中で行われる)ので、ユーザーがスリップカットの指示を出す。












2017年6月12日月曜日

リバウンド・ルーズボール

リバウンドははずれたシュートが跳ね返ってきたところをとることです。従って、オフェンスがとるオフェンスリバウンドと、ディフェンスがとるディフェンスリバウンドがあり、この2つはプレーの面でも違っています。

また、ボールがどちらの所有でもなくなったものをルーズボールと言います。リバウンドもシュートの手が離れた後はどちらのボールでもない(バイオレーションの制限はありますが)のでルーズボールの1種になります。これらのものは先に保持した方のボールとなります。

リバウンドの基本的な考え方
リバウンドを取るには、まずボールの動きについて知ることです。まず、シュートが打たれた場合、主に空気抵抗により減速し、投げた角度よりも垂直に近い角度で落下します。ボールがリングの手前に当たった場合、落ちる角度とリングに当たった場所角度の合力が垂直であれば真上に、リングの外側を向いていれば手前に、リングの内側を向いていればリングの向こう側に落ちます。リングの奥に当たった場合も同様です。しかし、シュートの上手になれば、リングの奥にはあまりあたらなくなりますし、よりリングの内側に近い位置でリングにあたりますので、リングの向こう側に落ちる確率が高くなります。

某大学の選手に45度(ウイング)からシュートを打ってもらい、外れたボールが落ちた位置を研究したものがあります。それによると、シューター側とその反対側のウイング方向を中心に分布しており、確率はシューター側が3割、シューターの反対側が5割となっています。残りの2割はフリースロー方向やロングリバウンドになっているのですが、特に分布が集中する場所はありません。正面から打ったシュートは正面に落ちます。選手の技術がありますので、一概にこの通りになるとは限りませんが、リバウンドを取るには、この2か所でどのように場所をとるかにかかってくることになります。次に、シュートの時間については、リリースしてからリングに到達するまで、3Pのシュートで約1.5秒と言われています。この時間に場所をとるか、止まってボールを見ているかによって、勝敗までも決まります。

リバウンドの獲得率と勝敗の関係について研究したものもあります。結果だけを示すと、リバウンドを多く取ったチームの勝率は約7割で、オフェンスリバウンドよりディフェンスリバウンドの方がより勝敗に影響が大きいとのことです。選手の身長差や技術の違いなどもありますが、この結果から、スクリーンアウトが勝敗にかなり影響することが分かります。

ルーズボールの基本的な考え方
どちらのチームも保持していないボールをルーズボールと言い、先に保持した方のボールになります。パスミス・キャッチミス・ドリブルミス・シュートミスなどの各ミスで発生する他、各種のスティールプレーでもルーズボールが発生します。相手のミスをつくのはもちろんですが、激しいディフェンスで多くのルーズボールを作り出し、ボールを奪うのも戦術の一つです。ルーズボールを奪うには、次のことを心がけましょう。

①相手より早くボールに向かってスタートする。距離が短いほど最初に動き出すほど有利です。足の速い遅いはあまり関係なく反射の速さで決まります。

②相手よりよい場所をとる。ボールと相手の間に自分の体がある場合は、相手はまっすぐにボールに向かえませんので、自分が有利になります。

③同時につかみそうだが近くに味方がいるときは、つかむことは考えず、指先で味方の方にボールを弾きます。

④同時につかみそうなときは、つかむことを考えずに、指先でボールを自分の方か自分の攻める方向に弾いて、もう一度ルーズボールを取り直します。

⑤サイドラインやエンドライン沿いのルーズボールで、味方が弾いたボールが外に出そうなときは、空中で体をひねってもパスが出せないときは、ボールを外に出してしまいディフェンスで守ることを心がけましょう。

オフェンスリバウンド
オフェンスリバウンドで一番大切なことは、落ちてくる確率が高い場所にどのように入り込んで場所をとるかということです。『リバウンドの基本的な考え方』に書いてある通りの位置の場所をとることが、一番最初に行うことです。ディフェンスが背後から前にまわり込んでスクリーンアウトにきた場合は、先にスクリーンアウトして一番落ちてくる確率の高い場所に相手を入らせないようにします。これらのことを行うためには、ディフェンスより早く動き始めなければなりません。

スクリーンアウトされた時には、相手と押し合いをしながらバックスピンする方法、後ろに下がって接触を外して飛び込む方法などがありますが、共にシュートがリバウンドになるまでにスクリーンアウトを突破しなければなりません。ボールが相手のシリンダーに入ってしまうと、よほど身長の差がない限り奪うことは難しく、身長の変わらない相手ではファールの可能性が高くなりますので、次のプレーの準備をするのがいいでしょう。次のプレーはチームの約束事ですが、スティール・ダブルチーム(相手にパスを躊躇させてゾーンプレスするチームもある)・アウトレットパスのインターセプト・ハリーバック(ゾーンの場合はこれが多い)などです。リバウンドを相手に取られたときの対応は、用意しておくのが良いと思います。

ディフェンスリバウンド
ディフェンスリバウンドで一番大切なことは、オフェンスとリバウンドを争うのではなく、オフェンスにリバウンドを取らせないことです。そのためにはスクリーンアウト(ボックスアウト・ブロックアウト)をしっかりと行い、ボールの落ちてくる確率の高い場所に入れないことです。

スクリーンアウトのやり方は2種類知っています。いきなり背中を相手に向けてもかわされてリバウンドの取れる位置に入られます。
多いのは、例えば、相手の右足の横に右足を置き、半回転してスクリーンアウトに入る方法です。

もう一つは、相手を体の側面で止め、自分の前方に動いてきた場合はフロントターンで、自分の後方に動いてきた場合はバックターンで、スクリーンアウトに入る方法です。
いずれにしても、シュートリリース直後から動きだすこと(相手がシュートフォームからのパスがなければ、リリース前に動き出してもよい)から動きだし、ボールが空中にある間にスクリーンアウトを完了することが大切です。3Pのボールが空中にある時間は約1.5秒です。ここまでを1秒以下で行うと、約0.5秒でボールがリバウンドになるので、1秒から1.5秒間相手を抑えきればリバウンドを取ることができます。大切なのは、リング下に誰もいなくなため、誰かがスクリーンアウトを突破されると、オフェンスリバウンドを取られる可能性が高くなります。なお、ベースライン側は突破されてもバックボードの裏側に押し込んでリバウンドに参加させない方法もあります。

腕の位置もいろいろな考え方がありますが、自分のシリンダーの中で肘から手首までをシリンダーに沿わせて、腕全体をリングの方に場所をとるのがシリンダーが理解しやすく高く手を上げるためリバウンドをとりやすくなるためいいと思います。

リバウンド練習

シュート練習の玉拾い
シュート練習の玉拾いは大抵低学年がシュート練習のときによくやっています。コーチもリバウンドやルーズボールの練習とは考えないのが多いようです。いやいやながら、または何も考えず惰性でやっている人がほとんどだと思います。漠然と行わず、シュートを打つ位置と落ちる場所の関係、リング下に入り込んでたくさんのボールに対する反応など、多くの練習材料が転がっています。しかもシュート練習の時間は結構長いですから、まず、これを利用しましょう。ボールのあまり来ないようなところで突っ立っているより間違いなく上手になります。

アップのコンタクトプレー
二人でリズムを合わせて、空中で体の前後左右をぶつけ合います。バランスを崩さずに着地することが大切です。アップドリルの1つとして行うのがいいと思います。

前にまわり込んでスクリーンアウト
一人が歩き、もう一人が後ろから追い越して、チェックアウトからスクリーンアウトをします。アップドリルの1つとして行うのがいいと思います。

からのボールスラップ
ボールを上に上げてボールの上から片手で巻き込むようにキャッチします。つかんだボールは体の前に持ってこないで肩の上に持ってきます。但し長身選手は肩の上にも持ってこないで腕を真っ直ぐ伸ばして一番高いところでボールをキープします。アップドリルの中に組み込んでしまうのがいと思います。

下からのボールスラップ
ボールを上に上げてボールの下から片手で巻き込むようにキャッチします。ボールをつかんだ後は上と同じです。

ティップ
ボールを指先で弾く技術です。リバウンドで落ちてくるボールを自分方に弾くほか、相手がつかんだボールを手の間からぬくなどのプレーもあります。ボールを上に投げて、手の平を上に向けてボールを弾きます。弾いたボールはもう一度ジャンプしてつかみます。最初はなかなかうまくいきませんが、身に付けると大きい武器になります。

ティップアウト
リバウンドを味方の方に弾く技術です。リバウンダーの後ろからボールをバックボードに当ます。ボールを投げた選手はウイングに走り、リバウンダーはウイングへボールを弾きだします。

ジャングルドリル
4人組で1人がシュートを打ち、3人でリバウンドを争います。シュートのポジションから見てのポジションの取り方、スクリーンアウト(考えないと3人目に取られる)、などのかけひきが必要です。ボールはラインから出るまで追うようにします。危険なファウルは注意しますが軽いファウルは見逃します。シュートを入れた人が次のシューターになります。

オールコートのタップ
多くのチームがやっています。オールコートを使用し、ボールをタップしたらダッシュして逆のリングでタップしこれを繰り返します。ダッシュとジャンプの繰り返しになるので、手を抜かなければかなり消耗するので、人数の多いチームではいくつかのチームが順番で行うのがいいでしょう。

サークルスクリーンアウト
これも多くのチームがやっています。サークル(仮想でもよい)のまわりを2人一組で4~5組ほど入れ、5秒間ボールを触らせないようにスクリーンアウトをします。最初はスクリーンアウトの姿勢から3秒程度で行い、徐々に向かい合わせのスクリーンアウトで5秒間にします。

チェックアウト(身体の前面で相手を止める)からの3線
スクリーンアウトの姿勢がとれない場合はチェックアウトで、相手を抑えることになります。誰かがシュートを打ち、落ちてくるボールに対してチェックアウトしていない方の手でリバウンドを取り、ファウルラインの延長上にアウトレットパスをします。これから先は3線になるので、各チームでどのような3線にするのかを考えて下さい。

スクリーンアウトからの3線
上と同じプレーですが、スクリーンアウトをします。

フリースローのスクリーンアウト
フリースローからスクリーンアウトを確実に行ってリバウンドします。

フリースローからの2対2
フリースロー1名、リバウンド4名で行い、右の1番目と左の2番目、左の1番目と右の2番目がチームとなります。フリースローをして、リバウンドから狭い範囲での2対2に移行します。

ルーズボール
多くのチームがやっている練習です。ボールを転がしそれを追いかけてとり返球します。トラベリングに注意しましょう。

ツーボールのルーズボール
ボール2つのルーズボールです。やり方は上と同じですが、転がったボールをつかむと同時に次のボールを出します。

ボールを床に落とさないルーズボール
これも上と同じですが、リバウンドやロングパスのディフェンスを意識して行います。しっかりジャンプしましょう。

ルーズボールからドライブイン
ボールを転がしそれを掴んでドライブインします。

ルーズボールからジャンプシュート
ボールを転がしそれを掴んでジャンプシュートします。

ループボールから1対1
両方のショートコーナーに選手を置いて、リング下から出したボールを取り1対1に入ります。ボールに飛び込むより場所をうまく取るようにします。

ルーズボールから3対3
オールコートの4か所とセンターサークルに2人おきます。ハーフコートにいる3人が1チームです。ワンバウンドのボールをセンターサークルの2人がボールを取り合い、取ったチームが攻撃します。ホイッスルの代わりにバウンド音をスタートの合図にします。