2017年7月17日月曜日

オフボール・オフェンス


試合や練習で自分がボールを持っていないとき、ボールをもらおうとしてもパスが来ず、気が付いたら味方の邪魔をしていることはないでしょうか。バスケットボールではボールを持ったときの攻め方よりも、ボールを持たないところでの動きの方が何倍も大切なのです。バスケットボールの上手な選手は、必ずボールのないところでうまく動きます。このボールを持たないオフェンスのことをオフボールオフェンスと言います。

動き方がわからない

ボールが欲しい
オフボールの動きがよくわかっていない場合、おもに2種類のことに陥りがちです。
 (A)動き方がわからなくて、ただ立っているだけ
 (B)とにかくパスをもらおうとがむしゃらに動き、とくにボールの近くに行きがち
(A)の場合、カッティングやスクリーンを試みましょう。とくにスクリーンプレイは最低でも2人が動きますし、スピードなどで振り切るばかりではないプレイですのでオススメです。
このケースになりやすいのは、自分が主体的にボールを持ってプレイしたいと思っていないタイプが多いです。スクリーンプレイであれば、ほかのプレイヤーをフリーにするために、積極的に動きましょう。また、自分が得点できるパターンを1つでもつくって、その形をつくれるように工夫することも大切です。
(B)の場合は、特に注意しなければなりません。
このケースになりやすいのは、得点力に自信があったり、ボールによく触りたかったり、とにかくオフェンスに関わりたいタイプです。もし、こういうケースに当てはまっている場合、チームオフェンスのリズムを崩したり、ほかのプレイヤーの攻撃機会をつぶしてしまっていることを自覚しましょう。
さきほども書きましたとおり、攻めるにはスペースが必要です。そのスペースを確保するためには、少なくとも半径3mの円のなかに味方がいないことが大切です。そうでないと十分なスペースがなく、1対1を仕掛けてもディフェンスが集まりやすかったり、シュートやパスをスティールされてしまいます。つまり、ボールに近づくことによって、ボールマンはシュート、パス、ドリブルのすべての機会を奪われている、ということです。
ボールマンが仕掛けようとしている場合、その仕掛けから生まれるチャンスに備えた動きをしましょう。時には、動かずに十分なスペースを取って待っていることも必要です。攻撃が始まったら、パスをもらえる位置に動き直して、ボールが来るのを待ちましょう。パスが欲しいばかりに、ボールに近づいて、自分をマークしているディフェンスに簡単にヘルプに行かせるようなことはしてはいけません。このように、時に「動かない」ということも、重要なオフボールのセレクションの一つなのです。

邪魔になってしまう
パスをもらおうとして動いたら、ドリブルしてきたプレイヤーとかぶってしまう。動いたら、ほかのプレイヤーと同じところへ行ってしまった。動き方がわからなくて立っていたら怒られる。こうした経験はないでしょうか。
バスケットボールでは、オフボール(ボールのないところ)での動きも大切です。ボールは1つしかなく、ボールを持っているプレイヤーが1人なのに対して、オフボールのプレイヤーは4人ですから、単純に計算すると、オフェンスの時間のうち、80%はボールを持っていない、ということです。オフボールで効果的に動けないということは、オフェンスの時間のほとんど、何の役にも立っていないのと同じなのです。ただ、役に立たたないだけなら、少しはマシかもしれません。それどころか味方とかぶってしまったりすれば、邪魔になってしまいます。
バスケットボールではボールを持った状態でのシュート、パス、ドリブルはとても大切ですが、オフボールでも効果的に動けていなければ、よいプレイヤーにはなれないのです。それではまず、邪魔にならないように、動くべき場所がわかるようになるには、どうしたらいいのでしょうか。
ボールマン①の方向へ②が動くと、ボール付近に敵味方4人が集まって、1対1どころかパスもできなくなります。 1対1は周りが広い方がやりやすいので、ボールから遠ざかる方が良いプレーとなります。また、ボールが欲しい場合は、元の位置に飛び出してボールをもらうことができます。 一般的に、ボールに向かう動き(ボールミート・フラッシュ)、ボールから遠ざかる動き(フレアカット)、リングに向かう動き(カットイン)、リングから離れる動き(カットオフ・ポップアウト)、スクリーンの5つの動きから可能で適切なものを使うことになります。

ボールを持っていないときの動き方の基本
オフザボール(ボールのないところ)の動きには基本があります。 これを知らないと、仲間と同じ所に動いてしまって邪魔になったり、動く場所がわからなくてその場で止まっていて指摘されたり、チームとしてバラバラになり、ボールを持ったプレイヤーが1対1を仕掛けるだけのオフェンスになってしまいます。
より具体的な動きはチーム戦術と合わせて確認するのですが、基本は覚えておきましょう。

上記の表は、オフボールオフェンスの動きを示したものです。動きの分類と一番左が目的です。この中で注意して頂きたいのは、一番右の「目的」の欄に、「ボールをもらう」は3つしかないということです(トレイルプレーを入れると4つ)。動きの方向の自由さから考えると、ボールを要求するプレーは4回に1回位で、実際にパスが来るのは5回に1回位でしょう。ボールをもらわない場合(もらえない場合ではない)の動きの目的は、スペースを作る・使う、スクリーンを作る、クリアアウト(カットインなどのコースを作る)の3通りになります。これらのプレーは、味方がシュートするための手助けです。
オフボールオフェンスを理解し、判断し、動くことは、個人の能力向上だけでなく、チームオフェンスからチームプレーになっていくものです。
とは言っても、今のプレーはどこが悪かったのか、どうしたら良いのか分らないひとがおられると思います。下表は私が作ったとりあえずどうしたら良いかを示した表です。利用して下さい。

スペースの作り方
動くべき場所は、スペースのあるところです。
スペースというのは、シュート、パス、ドリブルといったプレイをするときに、ほかのプレイヤーが邪魔にならない(つまり誰もいない場所のこと)空間を指します。たとえば、ほかのプレイヤーの真横に動いてしまえば、ディフェンスもついてきて、同じ場所に4人のプレイヤーがいることになります。これではドリブルで仕掛けることはほとんど無理ですし、シュートやパスもスティールされやすくなります。
このスペースを考えるとき、基準になる距離があります。よいスペーシングができているとき、それは5人のオフェンスプレイヤーがそれぞれ3~5m以上離れている場合です。まずは実際にラインの引いてあるコートで、この距離を体感してみてください。大股で1m位です。
動き方やスペーシングに問題を抱えているチームのほとんどは、この距離を保てていません。せっかくのハーフコートを、とても狭く使っているため、攻めづらくなってしまっているのです。スペースを探して動くときは、このスペーシングの原則を守ってください。
チーム全体のスペーシングが悪いときは、自分だけでなく、ほかのプレイヤーのポジションも修正する必要があります。こうしたスペースを探したり、ポジション修正をするために重要なのが、コート全体を見ることです。首を振ってコート全体を確認し、それぞれのプレイヤーがどのくらいの位置関係にいるか、スペースはどれくらいあるか、をチェックするのです。 動く場所がわからないという場合、たいていはコート全体の把握ができていません。オフボールではボールをディフェンスに取られる心配もないのですから、オンボールのとき以上にコート全体に気を配りましょう。

声を出す・ボールを呼ぶ
スペースを見つけたら、今度はパスをもらう準備をします。
ただ立っていてもパスはもらえません。もらえるとすれば、自分がシュートを打てない距離だったり、ディフェンスに脅威を与えられない場所です。シュート、パス、ドリブルのすべてができる状態(トリプルスレット)でボールをもらうためには、ディフェンスを外す必要があります。ディフェンスが外れていれば、ボールマンは安心してパスを出すことができます。ボールを呼びこむことができるのです。
ディフェンスを外すのに必要な技術は、カッティングとスクリーンです。
でも、絶好のタイミングで動いたとしても、パッサーが気づかなければパスは来ません。スペースに入った時にはボールが来ているように、少し早く声を出しましょう。試合会場では色々な声が飛び交いますので、他の声に負けないように大きな声を出さなければ意味がありません

パスが来ない・パスが回らない
よくないチームにありがちなのは、パスが回らないことです。たとえば、ヘルプが来たときなどに、強引に行ってしまってパスが出ない、というようにです。あるいは、ボールマンが攻めにくくなっているにもかかわらず、パスして状況を変えようとしない、ということもあります。これは、ボールを持っているプレイヤーが身勝手だから起こっていることでしょうか。もちろんそういったこともあるでしょう。しかし、パスが回らない原因は、ボールマンだけにあるとは限りません。
ここに2つのチームがあるとします。1つは、パスをたくさん回してフリーになれたプレイヤーがシュートを打つチーム。もう1つは、ボールを持ったプレイヤーが最後まで攻める場合がほとんどのチーム。あなたは、どちらのチームに入っても同じようにプレイするでしょうか。
おそらく、前者のチームになれば自分がシュートを打ちたくてもパスを回すはずです。これは、パスを回したとしても、自分がフリーになればシュートを打てるからです。一方、後者のチームになればボールを持ったら離さず、どんな状況でもシュートに行こうとするでしょう。これは、一度パスしてしまうと二度とボールには触れられず、シュートは打てないからです。
ボールマンがパスを出さないのは、ほかのプレイヤーもパスをしないからです。特定のプレイヤーのみに原因があるわけではなく、チーム全体の問題なのです。

フロアバランスについて
フロアバランスとは、コートのなかで人がどういうポジションにいるか、ということです。たとえば、基本的なポジションとしてトップ、両ウィング、ポストに2人います。このポジションではそれぞれにスペースがある程度あり、距離感も遠すぎません。こうした全体のポジショニングは「フロアバランスがよい」ということになり、攻めづらさを感じることは少ないです。
「動こうとすると、仲間とかぶってしまう」「狭くて攻めづらい」と感じるときは、フロアバランスが悪くなっています。「どこに人がいて、どこにスペースがあるのか」を考えながら動くことができれば、フロアバランスがよいまま、攻めることができるのです。
こうした「フロアバランスを整える」動きは、オフェンスの技術として、とても大切です。
しかし、常にフロアバランスがよい状態が、攻めやすい状態であるとは限りません
たとえばバスケットボールのオフェンス戦術に「アイソレーション」があります。ほかのプレイヤーが逆サイドに固まったりすることで、1対1の強い1人のプレイヤーに大きなスペースを与える戦術です。アイソレーションでは、まったくフロアバランスがよいとは言えません。
このように、「あえてフロアバランスを崩す」ことで、オフェンスの突破口を見つけ出そうというプレイもあります。 ゾーンディフェンスに対するオフェンスも同じで、あえて近いところにオフェンスプレイヤーをおくことで、数的優位をつくって攻めやすくすることもあります。
多くのディフェンスはフロアバランスの整った形が一番押さえやすくなっています。特にゾーンディフェンスは、オフェンスの配置が左右対称であることを前提としています。
フロアバランスは単に整えるばかりでなく、あえて崩すということも必要になるのです。動きを考えるとき、このフロアバランスということを頭に入れおいてください。

パスをもらえない人が注意すること
上記のことを守っているのにパスがもらえない人は次のことを考えて下さい。 パスをもらうためには、もちろんオープン(ディフェンスのマークが外れたフリーの状態)であることは大切ですが、それ以前の重要なことがあります。
それはチームメイトからの「信頼」です。
こんな経験はありませんか?
練習や試合で、レベルの高い人と低い人が混ざったチームにいる。ボールを持っているとき、レベルの高い人に優先的にパスを出してしまう。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。 理由は、
・レベルの高い人なら、ボールを奪われる心配が少ない
・レベルの高い人なら、状況に応じてシュートやドリブル、パスを適切に判断してくれる
などと考えるからです。
これが「信頼」です。
「あなたは、チームメイトにとって信頼に足るプレイヤーですか?」 この質問は、次のように言い換えると自問しやすいでしょう。
「あなたは、簡単なミスをしたり、シュートは打つけれどまったく入らない、といった自分中心のプレイをしていませんか?」
自分のミスや悪いところに目を向ける質問ですので、避けたいかもしれません。ですが、これを問わないと始まりません。
いくらオープンになる技術を磨いても、チームメイトの信頼がなければ、あなたが思ったとおりにパスはもらえないでしょう。ふだんの練習から、チームメイトに信頼してもらえるようなプレイをしているか、信頼を失うようなミスやプレイをしていないか、見直してみてください。コーチが「信頼できない選手」と判断した場合は、試合に出る機会は激減するでしょう。
もし「ちょっとまずいかも」と思うなら、直しましょう。
・ミスを減らすこと
・チームに貢献できるようにプレイすること

これらを心がけてプレイすることで、チームメイトからすこしずつ信頼されるようになるはずです。

ビジョンエリアとブラインドエリア
ボールマンからパスをもらう場合、2種類の「スペース(場所)」について知っておかなければなりません。それは、
・ブラインドエリア
・ビジョンエリア
です。
ブラインドエリアとは、ボールマンが見えないスペースのことです。たとえば、ボールマンがカットインして、ディフェンスがヘルプに来たとき、ヘルプディフェンスによって遮られた視角を見ることはできません。
ビジョンエリアは反対に、ボールマンが見えるスペースのことです。コート上から、ブラインドエリアを差し引いたものが、ビジョンエリアになります。 この説明からわかるとおり、ボールマンからパスをもらうためには、ビジョンエリアにいなければなりません。
これが、意外とできないのです。
ボールマンがカットインして自分のマークマンがディフェンスにいったとき、ミドルシュートなどを打とうとしてディフェンスの裏側に動いていませんか?ほとんどの場合、ボールマンはあなたを確認することができません。もし一瞬見えたとしても、その後の状況がわからないため、パスするのをためらうでしょう。
あなたがカットインしたプレイヤーからパスをもらえない場合、まずブラインドエリアにいないかを確認する必要があります。ビジョンエリアにいることが、パスをもらうための最低条件だと覚えておいてください。ですが、これだけではパスをどんどんもらうことはできません。
もう1つのことに注意しなければ、カットインしたプレイヤーはあなたにパスを出すことをためらうのです。では、1つ考えてみてください。カットインしたプレイヤーがパスを出そうと思ったとき、一番恐れるのは何でしょう?
答えは「パスカット」です。あまりにも当たり前の答えで、驚いたかもしれませんね。カットインしたプレイヤーは、パスカットを恐れます。それは、この状況でのターンオーバーはほぼイコール、速攻を意味するからです。バスケットボールにおいて、ターンオーバーと速攻は、できる限りなくさなければいけないミスです。その両方をみすみす犯すようなマネは、だれだってしたくありません。
ですからカットインしたプレイヤーは、パスを出す相手として、もっともパスカットされないであろうプレイヤーを選びがちです。 チャンスになるかどうかは、2の次になってしまいます。
このことからも、あなたがチャンスメイクをしようと裏に動いても、パスが確率が低いことがわかるでしょう。ですから、あなたはカットインしたプレイヤーからパスをもらうために、
 ・ビジョンエリアにいること
 ・パスカットされにくい所にいること
の2つが重要なのです。 このあたりは、ビジョンエリアを意識すれば、すぐに動けるようになるはずです。
むずかしいのは、トップ付近(バスケットの正面に近い所)にいて、自分のマークマンがヘルプにはいかず、2線気味にディフェンスした場合でしょう。この場合、定石となるのは、ボールマンがカットインした方向側のウィング側に寄るという動きです。
この動きをすれば、カットインしたプレイヤーの前方視野(正面を向いた状態のまま見られる視角)に入ったままでいられますし、マークマンの背中側に動くことになるため、ボールマンとしてもパスカットの心配が減ります。もちろん、これは各プレイヤーがよくある動きをした場合ですので、状況によってはこの限りではありません。たとえばトップ付近にいて、自分のマークマンがかなりヘルプ寄りにディフェンスした場合は、むしろカットインとは逆サイド側のウィング側に寄って、インサイドアウトのようなプレイを目指した方が、いいこともあります。
 ・ビジョンエリアにいること
 ・パスカットされにくい所にいること
を念頭に置いて、プレーしてみてください。

オフボールオフェンスを動かす練習
エルボーとローポストの2対0から2対2
オフェンスのエルボーから始める。動ける場所はエルボーとローポストの4ヶ所。ドリブルなし。最初はディフェンスなしで行い、動きが分かったところでディフェンスを入れる。ディフェンスは普通につく。オフボールオフェンスは、動かないとボールをもらえないので、空いている場所に動いてボールをもらう。これを5~10本程度繰り返してからシュートする。シュートは場所を問わない。


6か所の3対0から3対3
上の2対2と同じルールで動くが、6ヶ所のスペースを3人で動くことになる。今度はオフボールオフェンスが2人になる。パスをする人・ボールをもらう人・どちらでもない人の3種類の選手がいることになる。お互いに協調しながら動くことになる。状況判断をしなければならない。また、動きも複雑になるため、声を出さなければならない。攻撃するスペースを作ったりスクリーンをしたりして、味方の攻撃のサポートをするために自由に動きを要求する。

アウトサイドの3対0から3対3
上と同じルールで動くが、今度はアウトサイドばかりなので、連続したカッティング技術が中心となる。カッティング技術でアウトサイドを動くが、同じスペースに重なった時は、後から来た人がスクリーンをすることを基本とする。同時に複数のオフェンスがリング近くにいないこと、カットインした場合はすぐにカットアウトすることなどを注意することと長いシュートを狙うことが必要である。


ハーフコートの5対0から5対5
ウイングの合わせの練習である。ドライブインから、前方、斜め、横、後ろに動く。実際には、全員が合わせの位置に動けることはなく、セフティー等の必要なプレーにまわることになるが、声を出して知らさなければならない。慣れてくればディフェンスをつける。
トップの合わせの練習である。例は右手側を抜いたところである。ショートコーナーの選手の動きは、自分のディフェンスがカバーに行ったときの動きである。
 カバーが来て閉じられたコースに詰まってからではパスが出しずらい。視野を保ってカバーの選手の動きの逆をつくようにパスするのがよい。また、カバーが来た方向へ合わせるのが原則であるが、ローテーションでインターセプトを狙いにくる場合もあるので大きな声を出して知らせなければならない。





2017年7月10日月曜日

速攻・トランジッション


オールコートのパッシングプレーはどこのチームでも行っている、ツーメンズダッシュとかスリーメンズダッシュとかいうものです。速く走る他に、味方のスピードを生かすパス、スタートのタイミングの取り方、ディフェンスを考えた動きなどやることはいくらでもあります。ただ走ってシュートを打つだけの練習ではなく、試合のシチュエーションや速攻を理解しなくてはなません。

特に大切なのは、速攻の目的を理解することです。よく練習では「もっと速く走れ」とか「リードパスをしろ」とかの指示が出ると思います。それ自体は間違いではありませんが、速攻の方法論です。速攻の目的は、得点することです。当たり前だと思うでしょうが、例えば速攻練習の途中でフラッシュを入れたり、サイドから逆サイドへ流れたり、アウトレットパスからクロスしたりするような場合はどのようなシチュエーションか理解して練習していますか。練習で大切なのは、理解と判断です。

速攻の目的
速攻は、ディフェンスからオフェンスに切り替わったとき(下の「速攻を出せる状況」参照)に素早く攻撃に移り、オフェンスがディフェンスより数的に有利なアウトナンバーの状態(3対2・2対1・1対0など)を作って簡単に得点するのが目的です。従って速攻をより効果的にするのは、アウトナンバーの攻撃の練習です。

速攻を出せる状況
ディフェンスからオフェンスに切り替わった時、速攻が出しやすい場面は、下記の通りです。
(1)パスのインターセプト
(2)ボール保持者のドリブルや相手が保持しているボールのスティール
(3)リバウンド
(4)シュートを入れられた後(但し、第4ピリオド残り2分以降を除く。※ミニバスにはこのルールがないところもある)
上記の状況は、(1)から順に、オフェンスからディフェンスへの対応が遅れるため、得点しやすくなります。また、インターセプトやスティールは、攻撃するリング(相手のリング)に近いほど得点しやすくなります。
オールコートのプレスディフェンスは、インターセプトやスティールを狙い短時間に高得点するためのディフェンスといえますが、相手チームの技術が高まるとスティールやインターセプトが困難になります。プレスディフェンスを行うときは、この時にどう対応するのか準備しなくてはなりません。

コートの区分けとフロアバランス
アウトナンバーを作るには、選手ひとりひとりが、自分・味方・相手がどこにいて、自分が何をすべきかを判断しなければなりません。そのためには、コートを区分して、自分はどこを走るのか、何をする(シュート・パス・ドリブル)のかを理解するのが大切です。その理解はひとりよがりのものでなく、全員が理解できるものでなくてはなりません。そのためには、練習の中で、お互いにプレーを理解しどう判断するかを共有することが大切です。
コートの区分方法はいくつかあります。
 ①内側からミドルレーン・トレーラーレーン・サイドレーンと、全面を縦の5つのレーンに分けるもの。
 ②内側からミドルレーン・サイドレーンと言い、全面を縦の3つのレーンに分けるもの。
 ③各ハーフコートを縦横3の格子で9に区分し、全面を18のゾーンに分けるもの。
 ④コート内にいくつかのスポット(小さい場所)を設けるもの。スポットからスポットへ走り抜けてプレーします。
いずれの考え方を採用するとしても、コート全面の選手のバランスをとらなくては、速攻が失敗に終わった時に、逆に速攻をしかけられるかも知れません。

リバウンドからの速攻 フロアバランス アウトレットパス
速攻が試合で最も多く発生するのはリバウンドからです。シュート率はかなり高くても、ワンサイドゲームにでもならない限り、3割を超えることはほとんどありません。残りの7割をどう速攻に結び付けるかがここでのテーマになります。リバウンドと勝敗の関係は、リバウンド総数で多く取ったチームの勝率は7割、この内オフェンスリバウンドよりディフェンスリバウンドの獲得率がより勝利に影響するという研究が発表されています。

(1) ディフェンスのフロアバランス
速攻を出すには、素早い切り替えが重要です。味方がボールを保持した瞬間に自分がどこへ走り、何をするのか判断するために、ディフェンスを行っているときから、自分がコート上のどこにいて、ボールがどこにあるのかを常に把握しておかなければなりません。簡単に言えば、今シュートがあったら自分は何をすればよいかを、常に考えておかなくてはならないということです。これはやれと言ってできるものではありません。そのための練習が必要です。それをしないチームは全員がシュートが落ちてくるのをぼやっとボールを眺めていることになります。

(2)スクリーンアウト
リバウンドを確実に取るためにスクリーンアウト(ブロックアウト、ボックスアウト)を徹底します。相手のリバウンド人数に応じてスクリーンアウトをします。ディフェンスの時は3人で三角形を作りスクリーンアウト、1人はアウトレットパスがもらえる位置に動き、一人は前に走るのが効率的です。

(3)アウトレットパス
リバウンドをゴール下で取った場合、その周辺は人が多く密集しているため、素早くアウトサイドへパスを出します。昔はボールを取ったサイドへパスすると言われていましたが、今は空いている方へパスするのが良いとされています。
また、ノーマークの味方がオープンスペースを走っている場合は、パスを出します。また、自分にディフェンスがついていなかったり、ぬけるほど近い距離でついていたり、全てのレシーバーがディフェンスにパスラインを切られたら、ドリブルを選択します。
パスかドリブルかは、状況によって判断しなければなりません。したがって、リバウンドを取った瞬間に周囲を見て何をするかを判断します。

速攻のアウトレットパスについて
リバウンドをとったとき、あるいはシュートを決められてスローインするとき、パスしやすい場所としにくい場所があります。左図は、私が大学のときに先生に教えてもらいました。

まず、ボールを持ったときに、このスペースのどこにパスを出して、自分は次にどこに動いてボールをもらえばよいかを考える図です。 当時と比べると、戦術など多くのものが違いますし、大体、どこにパスを出すのかわかっていればパスカットを狙いやすいということもあります。しかし、プレーを行うときに参考になると思います。

アウトナンバーとタイトナンバー
オフェンスがディフェンスより人数が多い場合をアウトナンバーといい、同数の場合をタイトナンバーと言います。速攻の場合にはアウトナンバーになることが多く(アウトナンバーをねらっているので)、速攻が上手くいかなかった場合はタイトナンバーが多くなります。タイトナンバーに一時なった場合でも、後続のプレーヤーによってはアウトナンバーになることもあります。また、速攻がうまくいかない場合でもアーリーオフェンスを設定しておけば攻撃可能です。自分たちが試合の中のどの部分の練習をしているのかを理解することが大切です。

オールコートの練習はディフェンスからオフェンスを行うものと、オフェンスからディフェンスを行うものの2種類があります。ディフェンスからオフェンスを行うものはセットオフェンスやディフェンス中心の練習、オフェンスからディフェンスを行うものはトランジッションの速さの練習のために行います。

トランジッションの意味
トランジション(transitions)とは移行や遷移という意味です。バスケットボールでは「攻守の切り替え」という意味で使われています。トランジッションの速さは、当然、速攻のシチュエーションに大きく関わります。オフェンスへのトランジッションの速さは速攻のチャンスになり、ディフェンスのトランジッションの速さは、速攻の防御だけでなく速いピックアップなどによってオールコートディフェンスを行うことができます。

速攻はオフェンスが使えるスペースが広く、数的に優位ならイージーシュートのチャンスが確実に増えます。速攻は上背のないチームや格下のチームが勝利を目指すうえで欠かせない戦術です。だからトランジションを頑張ろう、という指示が多くのコーチの口から出ます。
しかし「トランジションをしろ」という指示で選手がイメージするのは、全力で攻め全力で守るという、全力ダッシュで構成する激しいバスケットボールです。もしかしたら、コーチもそのようなイメージを持っている人がいるかも知れません。このイメージが間違いを引き起こします。

「トランジションに力を入れる」とは、攻防の切り替え自体を速くすることであって、相手コートに全力でダッシュしたり、自陣に100%の力で戻っていくことではありません。バスケットボールのコートは短く、速攻のシチュエーションを作れるかどうかは、足の速さではなく、スタートの速さで決まってしまいます。
50メートル走で1秒差というのは50mを10秒で走る選手(多くの選手はもっと速いですが)でも5m、0.5秒で2.5m、通常の条件反射の速度である0.3秒(オリンピック選手で0.2秒位)なら1.5m(オリンピック選手でも1m)の距離となるからです。これと同じ理屈で、速攻が成立するか防げるかという問題は、足の速さではなくスタートの早さ、相手より少しでも早く走り出せるかで決まるのです。
だからトランジションを早くしたいのなら、往復ダッシュする練習よりも、スタートの速さの練習が必要です。オフェンス・ディフェンスの攻防の中での判断力と、それに対する反応を鍛える練習をしなくてはなりません。しかしその前に、オフェンスとディフェンスのトランジションについての注意点を考えましょう。

トランジションの注意点、コツ
スタートの早さとは、オフェンスからディフェンス、ディフェンスからオフェンスへの移行の早さということです。この2つのシチュエーションにおいて、前に述べたように特に大切になるのがリバウンドの判断力と反応です。あなたがオフェンスでもディフェンスでも、ボールの所有権が移った瞬間にそれを判断し、反応しなければなりません。そのためには、リバウンドからアウトレットの速さ、オフェンスが前に飛び出す速さ、ディフェンスが相手を捕まえる速さ、ここは速攻の成否にかかわるところですので、全力でプレーしなくてはなりません。

ディフェンスからオフェンス
ディフェンスからオフェンスの切り替えについては、最も速攻を出しやすいディフェンスリバウンドからの速攻を意識してみよう。相手のシュートが外れたら、まずは自分のチームのリバウンダーがボールを保持できたかを判断しましょう。これは予想して判断を速くするためのいくつかのコツがあります。
1つは味方ディフェンスがスクリーンアウトをしっかりと行なっているかどうか。もう1つはシュートがどの位置から放たれたかを見ることです。リバウンドは半分がシュート位置から逆方向に落ちる傾向があります。このことを意識しておけば、逆サイドのリバウンド争いが優勢かどうかに注目することで、「スタートを切れそうだ」という予想を立てることができ、結果コンマ何秒かの早いスタートを実現できます。この予想が正確にできるかどうかで数mの差がつきます。
また、シューターにプレッシャーが掛かるような激しいディフェンスができていることも大切なポイントです。いい形でシュートを打てないチームは、オフェンスリバウンドに力を入れる傾向にあります。相手はオフェンスリバウンドをとろうとゴールへ殺到するでしょう。ここでスクリーンアウトが威力を発揮することになります。相手のセフティーが薄くなっていることが多いので、リバウンドから速攻を出しやすくなります。十分な練習を積んでいれば、「チャンスだ」という意識だけで、スタートは早くなります。
ディフェンスリバウンドを奪ったら、はじめの3歩を必死でスプリントしましょう。100メートルを全力疾走するのではなく、はじめの3歩だけ頑張ればいいのです。バスケットボールのコートは短いため、はじめの3歩を踏んだ時点で、速攻が出そうかどうかというのは判断ができます。 ディフェンスが自分の加速についてこれない場合は、ボールを要求しながら、そのまま5歩めまで全力で加速しましょう。この時点でボールが飛んでくれば、簡単なシュートを打つことができます。相手の戻りが早く、速攻が難しい場合は無理して頑張らずに、アーリーオフェンスのシチュエーションに移行します。無駄に全力疾走で体力を使い切る必要はありません。
ディフェンスリバウンドからの速攻が意識できるようになれば、得点を決められた時にもこちらがボールを奪った時にも、反射的に走りやすくなります。ランプレイの意識が高ければ、敵陣のスペースを見逃さず、走り込んで攻めることができます。

オフェンスからディフェンス
オフェンスからディフェンスへの切り替えが起こるのは、ターンオーバーとディフェンスリバウンド、こちらが得点をした時の3つです。このうちターンオーバーはファンダメンタルやスキルの問題ですので、突発的でなかなか予期できませんが、ディフェンスリバウンドと得点時に関しては、状況を想定した練習ができます。
こちらがオフェンスからディフェンス側になった瞬間、相手チームはまず必ず速攻を狙ってくると思わなくてはいけません。そこで大切なのは
 「1.まず戻るために瞬間的に走りだすこと」
 「2.マークマンを発見し、正しいポジショニングを取ること」
 「3.ボールを見て状況を把握すること」
の3つです。これは1.2.3の順番に大切です。このときも相手の速攻を防ぐために、初めの3歩を意識することが大切です。
この3つが揃ってディフェンスへのトランジッションがうまくいきます。最悪なのは、ぼやっとしてから全力で、ゴール下へとダッシュする戻り方です。早く反応し、次のプレーを知っていれば、こんなに疲れる非効率なやり方をしなくて済みます。3つの注意点を自分が守れているか、チェックして下さい。

また、相手チームがディフェンスリバウンドを取る前の行動を確認してみることにも価値があります。たとえばオフェンスリバウンドをとろうとしてゴール下まで潜り込んでしまうと、相手ボールになったときには、必ずコート上の選手の中で最後尾から自陣に戻らなくてはいけなくなります。また、ボールをとれる目算もなく飛び込みリバウンドで大きく飛んでしまうと、同じく戻りは遅くなります。
この他に、ハイポストのディフェンスリバウンドは速攻が生まれやすく(プレッシャーがかけにくい+センターからの速攻の練習が多い)、トランジションの早さということに着目すると、リバウンドの技術を確認しておくのも大切です。

トランジッションの意識
これまで書いてきたようにトランジションは、身体能力ではなく意識の問題です。もちろん体力や技術がなければ、よいスタートを切るのは難しいでしょう。しかし相手と同等の体力があれば、トランジションは日頃からの意識と習慣にかかっています。意識は練習の質(理解と判断)で、習慣は練習の量(繰り返しの練習量)によって作られます。

速攻の練習方法
ストップターン型の折り返しダッシュ(ドライブをイメージして行うなら、ドリブルしながら行います。この場合は左右両方の手を使ってドリブルするようにします)

(1)ダッシュからコーチの笛で方向を変えて逆方向にダッシュします。左右の足どちらでもストップできるようにしておきます。この練習の応用として、フロントターンだけでなくバックターン、キックターン、バックランを行います。また、ドリブルしながら行うこともできます。

(2)一般にシャトルランと呼ばれているものです。ベースラインから始めて、ファウルライン(1/4)・センターライン(1/2)・向こうのファウルライン(3/4)・向こうのベースライン(1/1)の4か所でターンして各々スタートのベースラインまで戻ります。

(3)シャトルランを、1/4・1/2・3/4・1/1・3/4・1/2・1/4と7か所でターンするものです。
 シャトルランの応用としてフロントターンだけでなくバックターン、キックターン、バックランを行います。また、ドリブルしながら行うこともできます。

上はルーズボールからのドリブルシュートです。コーチ(別に誰でもいいんですが)が選手の背後からボールを転がしそれを拾って反対側のリングにドリブルシュートします。相手がボールをこぼしたり、キャッチミスをしたりするのを想定しています。この練習の応用として、前向きのルーズボールを数回して長いボールをドリブルシュートします。
下はパスカットからのドリブルシュートです。コーチがカットできる位置にバスを出して、選手はそれをカットし、そのままドリブルシュートに行きます。カットしたのをそのままドリブルするのはできれば避け、一旦ボールを両手でとるのが他のプレーにも応用できていいと思います。応用としては、全てのパスをインターセプトするように動いて、自分のインターセプトできる距離を測る練習があります。

上は通常の2線です。中央からパスを出して、サイドがシュートを打ちます。通常はパス3つでシュートとなります。この練習の応用では、2歩目でパスを出す、外側の足でもらって内側の足でパスを出す。速いパスを4つか5つかにする、パスの指定をする(片手・バウンズなど)・周縁視野を使う、などがあります。中にはダッシュと大きなリードパスのみでプレーを構成し、2パスでシュートに行くものもあります。その他、シュートをレイアップでなくジャンプシュートにするものもあります。
下はクロスの2線で中央のパスを出した人がサイドまで走り、ボールを受けた人はドリブルで(1~3つ)前にロングパスします。前の人はキャッチしてシュートします。ドリブルする人は、試合では逆方向からの攻撃があることを意識して、ミドルエリアからパスをします。この練習の応用では、シュートをジャンプシュートに変えるものりがあります。

上下ともに上の2線と同じ動きですが、シュートにディフェンスがついてきた状況を考えて、フリースロー付近にリターンパスしてジャンプシュートです。






上はボールもらいにVカットを用いたもので普通の2線型、下は交差しながら走るものでパスは縦横の特徴的な動きになります。応用としては、Vカットを他のカットに変えるのがあります。速攻というよりは、プレスダウンの基礎練習みたいな感覚でやってました。


バックコートサイドからのスローイン。ボールをもらいに行くのは、Vカットとフラッシュを合わせたもので非常にカットしにくい。スローインした人はダッシュして自分のディフェンスを振り切り、シュートまで持っていく。大切なのはカットインのコースに他の人が入りこまないこと。

これは、プレスディフェンスを念頭に置いた2線のプレスダウンです。ダブルチームは後方のプレーに弱いので、ダブルチームに合うと、すぐに後ろの味方にパスをして逆サイドへとドライブします。実際にはどこかで縦に抜けたり、内側の味方にパスできるようになるので、視野を広げなければなりません。同様の観点でリトリートドリブルでダブルチームをぬく方法があります。

通常の3線です。中央からパスを出してまたパスをもらい反対側にパスするのですが、一番前にいる人は誰か判断してパスするようにしています。応用では、パス速度を早くして4~5つのパスをするもの、2つ目のパスを真ん中を経由せず反対サイドへ出して、2パスで行う方法などです。また、パターンをなしにして、一番前に走っている選手にパスするというのもあります。

・上記の3線からシュートを打った人をディフェンスにして、帰りは2対1を行います。


これは、通常はシュートを打たない2人にもシュートを打つ練習を合わせたものです。シューターにパスする人の場所を変えると変化が出ます。





側線式の速攻からダブルカットインするものです。上はコーナーからダブルカットインにパスをいれるもの、下はコーナーに行かずに適当な所からフラッシュしてパスをつなぐものです。応用としては、シュートのパスを指定しない(3人の内誰が打っても良い)方法、途中の速度を落としてまた速度を上げる方法

ウイーブ(クリスクロス)と呼ばれているものです。パスした相手の後方を通過するため、前にゆっくり進むほど選手は良く走っていることになります。(手抜きは別です)大体、10回以上はパスして欲しいところです(練習ではサイドラインを踏むまで走りましょう)。

これもウイーブの1種ですが、ドリブルした後に、自分の体でスクリーンを作り、後ろを通過する味方にパスするプレー(トレイル:アウトサイドスクリーン)を行います。






これは、バックコートのサイドスローインでディフェンスが出てきたことを想定したカウンター型の攻撃です。真ん中の選手はVカットからフラッシュします。スローインをした人はすぐにダッシュします(ボールをちらっと見る間に走りぬけます)。ボールと逆サイドはディフェンスが3線から2線に変わりますので、オフェンスに寄ってきます。この時に逆方向をついてディフェンスの背中側に出ます。
コートの中央付近でボールを持つと、最初のカットイン2つ目のカットインに合わせてパスします。字で書くと長いですが実際には、パスを投げてからセンターまでつなぐのは、一瞬の間に行います。

これは、フリースタイルのボール運びの技術で、3人がよく理解し、かつ適切な判断を行わなければ成功しません。ボールを頂点とした三角形を連続して作っていくもので、これを4人で行った場合(四角形を作り、縦・横・斜めにレシーバーを配置する)、マンツーマンプレスでもゾーンプレスでも運べるオールパーパスのオフェンスになります。

このオフェンスはサイドライン沿いに縦に繋いでいくもので、アメリカではファイヤーカー(消防車のこと:連なって走るのが消防車に似ているらしい)と呼ばれています。
利点は、相手が一方向からしか来ないので視野が広くなることです。欠点はサイドライン沿いはトラップがかかりやすいため、相手のバックが速い場合は、トラップされる危険性があります。