2017年5月9日火曜日

シュート

バスケットボールでリングにボールを投げ入れる行為を『シュート』と言います。た、『ショット』ということもあります。本来は動詞と名詞ですので意味が多少変わるのですが、『シュート』と『ショット』は同じような意味で使われていますので、「シュート」と呼ぶことにします。

シュートは手の使い方による分類では、3種類しかありません。上から打つ『クローズアップシュート』、下から打つ『レイアップシュート』、横から打つ『フックシュート』の3種類です。 肘の曲げ具合、シュートの距離、ステップの使い方、空中での変化などの組み合わせで多様なシュートが存在します。
しかし、多様なシュートを打てることは、それほど大切なことではありません。シュートで一番大切なのは得点することです。そのためには、攻撃の度に確実にシュートを入れることが必要です。

なお、JBA(日本バスケットボール協会)では、男女ともシュートは片手で打つということを推奨しています。世界レベルでは片手が標準であり、日本が海外のチームと戦うために必要なことと考えられるからです。

シュートフォーム

利き手のワンハンドシュートを前提にシュートフォームについて、特に小学生でバスケットボールを初めたときに教えることは以下の通りです。

①まず、バスケットポジション(パワーポジション)をとります。シュートはバスケットポジションから打つわけではありませんが、バスケットボールをする時には常にバスケットポジションからプレーするようにします。
②足の幅を肩幅程度にせばめ、利き手の方の足を、靴の長さかその半分位の間で利き手の方の足を前後に開きます。この時点で膝が伸びてしまう選手がいるので、腰の高さを変えないようにします。
③爪先と膝の方向を揃えます。足先と膝の方向が違っている場合は、スポーツ傷害(この場合は半月板損傷や十字靭帯損傷など)の危険があるので、シュートに関わらずこれは確実に行わなければなりません。
④体の正面をリングに向けます。人によっては少し斜めに向く場合もあります。遠近感が十分にとれるのなら問題ありません。遠近感は両目で、方向は利き手側の目でとらえます。
⑤爪先、膝、肘、ボールを垂直な一直線上に置き、手首を返します。手の指は一杯に開きます。この打ち方ではシュートは体の中心から少しずれた位置から出ることになります。このとき、利き手側の目のほぼ上にボールがありますので、このまま真っ直ぐに打てば、ボールはリング方向に真っ直ぐに飛んで行きます。
・シュートが届かない場合は、頭上から打つ必要はありません。
・下半身から上半身へと力を伝えてボールをリリースします。
・肘、手首を真っ直ぐ振り、中指と人差し指でボールを切るようにシュートします。
・届かないときは、シュートに合わせて少しジャンプし、ボールに勢いをつけます。
⑥まず、簡単に届くところからシュートを打ちましょう。確実に入る距離を伸ばしていきましょう。

シュートの調整

シュートは確率ですから入らないこともあります。しかし、入らなかった原因をしっかりとチェックし修正しておくことが確実なシュートに近づくことになります。

①シュートが左右にずれる場合は次の点をチェックします。
・爪先と膝の方向をリング方向でない場合はリング方向に変えてみます。
・下半身の動きがリング方向に向かっていない場合は、下半身に注意して真っ直ぐに動くようにします。
・肘が外や内に向いている場合は、爪先、膝、肘、ボールを垂直な一直線上に置くことを再確認します。
・手首はリングに向かって返します。このとき、内側や外側にひねったり、投げた瞬間に後方へ引いたり、腕を振り切ってしまう場合は、フォロースルーをしっかり行い、自分の注意点を確認するようにします。フォロースルーはシュートのリリース後の動作なのでその成否とは関係ありませんが、手首などの使い方などをチェックをするために必要な動作ですので、特に初心者は必ず行わなければなりません。
②前のシュートが短い場合は、少し長めに打ちます。
③前のシュートが長い場合は、少し短めに打ちます。
④前のシュートが入った場合は、同じ感覚で打てるように練習します。
⑤距離が分からなくなった場合は、少しだけ短めに打ち、自分でリバウンドを取ることを前提にプレーする。

シュートの注意事項

せっかく、シュートを覚えてもいろいろな原因でシュートが入らずに、シュートフォームを崩してしまう場合があります。フォームが崩れると、それが戻らなくなる場合もあります。
試合中のシュートについての注意
①シュートは確率ですから、入らないこともあります。
②苦手な場所からシュートしてはいけません。
③試合中にシュートフォームを修正してはいけません。
④リラックスしましょう。力めばより入らなくなります。
⑤まぐれのシュートに期待するチームは弱いチームです。
⑥シュートの後のプレーは、リバウンドかセフティーです。シュートを打つ人だけではなく、全員が次のプレーを考えましょう。シュートを落としてもリバウンドを取ってくれる、相手に取られても速攻を止めてくれると考えれば、リラックスしてシュートが打てます。落としても大丈夫な状況を全員で作ることです。

練習中のシュートについての注意
①シュートが入らなった原因・入った原因を考えましょう。
②シュートは確率であっても1%でもシュート率を上げようとしましょう。
③練習でも絶対に無理なシュートは打ってはいけません。シュートフォームを崩す原因になります。
④フリースローは十分に練習しましょう。ディフェンスがいない状況で打つシュートですから、確実に得点できるチャンスです。フリースローの差が勝敗につながることもあります。
⑤リバウンドとセフティーは必ず行いましょう。それを行うことは楽にシュートを打てることになります。

シュートセレクション
誰がどこからどんなシュートを打つのかを決めることがシュートセレクションです。もちろん、打つシュートはシュート率の高いシュートでなくてはなりません。
リング付近のノーマークシュートが一番入りやすいのは誰でもわかります。でも、リング付近でノーマークを作る方法を知っている人はあまりいません。これを知るには、ディフェンスの動きを理解し、全員で実践しなければなりません。マンツーマンの場合、ディフェンスは基本的にオフェンスについてきます。オフェンスがディフェンスを連れて動き、誰もいない場所(スペース)をリング付近に作れば、ディフェンスを振り切ったりスクリーンでノーマークを作って、その場所に動けばいいのです。言葉にすれば簡単ですが、実は結構難しいのです。日本のトップクラスの試合でも基本はこういった動きです(3Pもあるので、中へ外へと連続してスペースを作ります)。
バスケットのオフェンスはこういったプレーを徹底することからできています。無駄なシュートを打たずに、シュート率の高いシュートを狙うことをシュートセレクションと言い、チームオフェンスの技術の中では一番大切なものです。

もっとシュートを入れるために必要なもの
バスケットボールは相手と得点を争う競技です。従って、もっとシュート率を上げるために努力しなければなりません。すでにある程度シュートが打てる人がもっと入れるためには何が必要でしょうか。コーチの指導を理解し、自分に取り入れようとする前向きな姿勢がもちろん大切ですが、その他にどのようなことが必要でしょうか。
シュートフォーム
まず最初にシュートフォームが大切です。どんなに努力しても、理にかなわないシュートフォームであれば、入るシュートはまぐれです。上記『シュートの打ち方』を参考としてシュートフォームを作って下さい。但し、コーチが違うことを教えるなら、コーチの教えをしっかりと守って下さい。答えは1つではありません。
練習本数
シュートほど練習が表れるプレーはありません。結果がはっきりと分かります。1ポジションのシュートで最低2000本から5000本と言われています。遊びで打つ時間を試合で打つ場所から練習して下さい。10分あれば、リング下から200本程度、ペイント内なら100本程度、3点シュートでも30~50本程度打てます。これを1か月続ければ確実にうまくなります。遊びで打つ選手は確実に下手になります。
集中力
しっかりと、見て、感じて、信じることです。これで分かる人は集中できています。学校の授業に置き換えてみればわかると思います。
自信
自分の練習したシュートスキルを信じることです。味方が練習した努力を信じることです。
リバウンド
リバウンドが取れるなら安心してシュートが打てるのでシュート率は上がります。従って、セフティー以外の選手は必ず全員がリバウンドに参加して下さい。

多様なシュートを打てることは、それほど大切なことではありません。シュートで一番大切なのは得点することです。
そのためには、次のことが必要です。
①正確なシュートフォームを身に付けましょう。
②シュート練習をたくさん行いましょう。誰よりも多くシュート練習をしましょう。自ら進んでシュート練習できない人は、試合でシュートを打ってはいけません。
③シュート練習は考えながら集中して行いましょう。
④シュートは試合で入れるために練習しているということを忘れてはいけません。
⑤シュートより大切なものは、シュートセレクション(誰がどの場面でどんなシュートを打つか)を正確にできることです。

シュートの主な練習法
・マイカンドリル
リング下シュートの基本で、全員が必要なスキルです。30秒間、一人でリングの左右から交互に打ちます。中学女子では13~15本、大学男子では20本前後です。高校・大学レベルでは、右から打つ場合は右手で、左側から打つ場合は左手で打ちます。リング下のジャンプシュートが普通ですが、センタープレーヤーの中には、バックシュートやフックシュートを打つ練習もあります。 ・リバウンドシュート
リバウンドからのシュートの基本で全員が必要なスキルです。
ボードに当てたボールを取ってシュートを打ちます。背後から投げるもの、対角から投げるもの、自分で投げるものなどがあります。打つシュートは、持った位置からジャンプシュート、前足を軸にしてステップイン、後ろ足を軸にしてスピンムーブ、ポンプフェイク、逆サイドにワンドリブルなどがあります。

・ドリブルシュート
全員が必要なスキルです。
①ドリブルからシュートを打ちます。ハーフコートとオールコートがあるがオールコートはドリブル練習の色が濃いものです。右から打つ時は右手で、左から打つときは左手が基本です。手が逆になった場合はディフェンスの前に背中をを入れ、体でボールを守るつもりで打ちましょう。
②リング下にダミーディフェンスを入れます。

・条件付きドリブルシュート
ドリブルシュートに加えて速い反射を必要とします。
①コーチの動きに従って、ドリブルからシュートを打ちます。通常は左右と上(そのままシュート)だが、ステップやフェイントを指定するやり方もあります。
②通常はトップから行いますが、他のポジションからも行えます。左右にフェイク・ボールの持ち替え・ステップの変化・シュートの種類などをいろいろ変えることができます。

・エルボーからの連続レイアップ
エルボーからレイアップシュートをし、自らリバウンドをとってまたエルボーに素早くボールを置きます。次に反対側のエルボーのボールをとり、レイアップシュートをし、リバウンドをとってエルボーに戻り、これを繰り返します。

・エルボーからの連続ジャンプシュート
エルボーからジャンプシュートを打ち、逆のサイドラインまでダッシュして逆のエルボーからジャンプシュートを打ちます。リバウンドは1人か2人で行い、ボールをとったらダッシュでエルボーにボールを置かなくてはなりません。リバウンドも決してシュートの補助ではなく、タイミングよく練習できるようにダッシュを繰り返します。シュート距離が長い場合はリングに近いところからシュートできるようにします。10本打って7本以上入ればOKとして距離を伸ばし、3本以下なら距離を短くします。

・ハーフコート連続ジャンプシュート
エルボーからジャンプシュートを打ちリバウンド後、センターラインまでダッシュして逆のエルボーからジャンプシュートを打ちます。このリバウンドもダッシュでエルボーにボールを置かなくてはなりません。シュート距離が長い場合はリングに近いところからシュートできるようにします。10本打って7本以上入ればOKとして距離を伸ばし、3本以下なら距離を短くします。

・ランニングシュート
①走りながら味方からパスをもらってシュートを打ちます。走るコースはスペースがある状況を考えることが必要です。パスは必ずリードパスをします。ランナーは悪いパスのためにスピードを落としてはいけません。色々なコースを練習します。
②シュート後のプレーを指定します。ドリブル、1対1、フットワーク、パスアンドランなどが考えられます。

・ペイント内の4か所のシュート
主にセンターの基礎練習です。ポイントガード(2人)ウイング(左右)の位置からパスを出します。ペイントのエルボーの位置、ローポストの位置の左右4か所でパスをもらいシュートします。ボールから目を離さずに移動しましょう。慣れてきたらダミーディフェンスを入れて練習します。この場合は、しっかりシールしボールミートして、ボールカットされないようにします。シュートを打った後は素早くリバウンドに行きましょう。リング下の人数が多くなるのでぶつかることを怖がらないようにします。



・ルーズボールからのシュート
①ルーズボールをつかんでできるだけ早くドリブルシュートを打ちます。
②ルーズボールをつかんでできるだけ早くジャンプシュートを打ちます。

・2ミス・アンド・アウト
2人一組でシュートを行い片方がシュート、片方がリバウンドを行います。2本シュートミスをしたらシューターとリバウンダーが交代します。リバウンダーはどこからシュートを打てばどこに落ちやすいか考えて反応します。

・ムービングレシーブからのドリブルシュート
相手のディフェンスを想定して、前方・ボール方向・ボールと反対方向に大きく動いてボールをもらい、ドリブルシュートする。ボールもらいのプレーをフェイントにして逆側を抜く。ジャンプシュートを打つ。ジャンプシュートをフェイントにしてカウンターで抜くなどのプレーがあります。最初はダミーディフェンスで行い相手の位置とプレーの関係を覚えます。


・フリースロー
順番にフリースローを打ちます。前に打ったシュートが短ければ長く、長ければ短く打つように意識します。

・Vカットパス-シュートドリル
2列に並び、二番目の人から後ろの人は全員ボールを持ちます。一番前の人はVカットをしてパスをもらい、シュートを打ちます。パスからシュートまで速い動作で行うように、ミートアウトの際には足と体はリングの方に向くように練習して下さい。リバウンドは自分で取りに行きます。








・パスアンドランからドリブルシュート
2列に並び、最初に動く人以外は2~3人がボールを持ち、センターサークルの両側に並びます。一番前の人はダッシュして両方のエルボーを回ってボールミートし、パスをもらいます。そして内側にドリブルシュートをします。リバウンドを取ってエンドライン沿いにドリブルし、コーナーからボールを持っていない人にパスしてダッシュします。

・ハーフコートのウイーブからシュート
センターラインから3人がウイーブして、ボールを3人ともがもらいシュートします。シュート後は、④⑤⑥ともにリバウンドをとり、⑤はボールを持って④の位置へ、③は②の位置からパスして⑤の位置へ、④は①の位置でパスしてから③の位置へ動きます。




・ミシガンタイプの四角パスからジャンプシュート
ミシガンタイプの四角パスは、ツーガードの位置で横にパスして斜めにパスアンドランして正面からのパスを2番目の人に返す四角パスです。シュートの場合は、シュートポジションに合わせて四角の位置を変えます。図の場合はフリースローラインでのジャンプシュートを示しています。ワンプレーの中に2つのパスと2つのパスアンドランがあります。

・連続のランニングシュート
ツーガードの位置かそれよりもう少し広めで行います。逆サイドからのカットインに対してパスを入れますが、パスアンドランを行うとリング下が詰まってしまうことがあるので、スタートを調整してカットインします。ランニングシュート(2歩・1歩・0歩)の他、ジャンプシュート、ステップイン、ダブルクラッチ、ユーロステップやギャロップステップなどの練習を行います。


・オールコートダッシュのジャンプシュート
3線の真ん中が逆方向に走りリング下の混雑を避けます。シュート位置までダッシュし、パスをもらってシュートします。試合中に走りながらボールをもらうイメージで行いましょう。









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