2017年5月23日火曜日

ドリブル

バスケットボールを始めた頃は、誰でもシュートを打ちたがります。シュートがある程度入るようになると、ドリブルをするようになります。この時期に『ボールを持ったら何をするか』と尋ねてみると『ドリブル!』と答える子が何人かいます。答えの正誤はともかくも、ボールを前に運ぶ手だてがドリブルしか知らないのだから当然です。
パスを覚えて、『ボールを持ったら何をするか』と尋ねてみると、『パス。ドリブルよりも速いから』と答えます。もちろん、それは正しいのですが、『パスとドリブルを効果的に使う』というこちらの期待する答えにはなかなかたどり着けません。
さて、ドリブルはバスケットボールには欠かすことのできない重要な技術です。しかし、それを使うには、長所と短所を理解しなければなりません。

ドリブルの長所と短所

ドリブルの長所
①自分のディフェンスをぬけば、アウトナンバーの攻撃ができる。
②パスができなくてもボールを運ぶことができる。
③ディフェンスを抜くことで、シュートやパスがしやすくなる。

ドリブルの短所
①シュートやパスの可能性がなくなる。
②手から離れている時間があるため、スティールのリスクがある。
③ドリブルの技術は結構難しい。指先の使い方・左右差・リズムや強さ・前方の視野など

ボールを持ったら、シュート・パス・ドリブルしかできません。優先順位も、シュート・パス・ドリブルです。つまり、ドリブルは、最後の手段と言えるのです。ドリブルをつくためにはいつでもボールを触ることです。指先の鍛錬はバスケット全体のスキルアップにつながります。ドリブルは最後の選択肢ですが、不可欠なスキルと言えます。

ドリブル使用のポイント
ドリブルをするときは下記を注意して下さい。
① ドリブルをし過ぎないこと。(意味のないドリブルは味方も対応できない)
② ドリブルよりパスが優先。(パスができなければ、ドリブルもできない)
③ ドリブルは目的を持って行う。
④ ボールは叩かず押し出す。(手から離れている時間が短い)
⑤ 常に頭を上げ、目でボールは見ない。(指でボールを見る感覚)
⑥ ドリブルは止まり方が重要(止まった時は、パス又はシュートがすぐできる状態)
⑦ ドリブルで重要なもの(方向とスピードの変化:両手とも)

ミニバスケットで作るドリブルスキル
① 手の形を作り、強いドリブルをつく。(パーの形、指を開く)
② 指の感覚を鍛える。(ハンドリング・ドリル)
③ 利き腕はもちろん、非利き腕こそ鍛える。(ツーボール・ドリブル)
④ ルックアップ、フェースアップ。(ドリブル中に前方の目標を設ける)
⑤ ドリブルする前、しながら、ステップで抜く。
⑥ ドリブルする前、しながら、フェイクで抜く。
⑦ ドリブルの切り替えしで抜く。(フロントチェンジ、レッグスルーで)
⑧ ドリブルとターンで抜く。(バックチェンジ、リバースターンで)

ドリブルは1対1の基本です。
チームプレーの基本は1対1です。
ドリブルは、チームのために効果的に使うものです。

ドリブルの効用

ドリブルでチームプレーを作るのはかなり難しいと思います。ドリブルで作るチームプレーもありますがドリブルだけを使って攻めるチームプレーはありません。チームプレーはパッシングを中心に作られますが、ドリブルを使う場面は必ずあります。ドリブルとパスとではどちらが大切だと思いますか?個々の技術も大切ですが、プレーの理解と正しい判断が一番大切だと思います。
ドリブルは正しい判断に基づいて必要最小限使用することがベストです。


ドリブルの強化法

基本的に練習しかありません。正しい姿勢、正しいハンドリングにこだわることが必要です。
①バスケットボールポジション(パワーポジション)とは瞬間的にすばやく動くための準備姿勢をいいます。足幅は、前後左右、上下に素早く動ける幅。膝とつま先が同じ方向。股関節、膝関節、足関節を曲げ、重心を足の間に置きます。 それらの筋肉を力強く、協調的に動かすことのできる姿勢ということになります。これが十分に教えられていない選手が多いように思います。
②指先の感覚と筋力の強化
正しい手の形・ボールを強くつく・ボールを見ない

効果的なドリブル

ドリブルは非常に重要な武器です。チームにとって素晴らしいドリブラーは必要です。しかし、乱用や誤用は、ひとりよがりの勝手なプレーとなり、モラル面からチームの崩壊を招くことになります。素晴らしいドリブラーとは、巧みにボールをコントロールし、さらに広いビジョンをもち、ボールを見ないでコート全体を見渡せ、いつでもパスできるということです。
効果的なドリブルとはどのようなものでしょう。

 ・ドリブルすることによって、容易に得点できる。
 ・ドリブルによって、シュート・パスができない状況から脱出できる。

ドリブルは効果的に使うことで、大きな武器になります。しかし、効果的に使わなければ、パスが読まれやすくなります。読まれたパスは、インターセプトの餌食です。

ドリブルを生かす能力

スピードではドリブルよりパスが勝ります。それは、パスより速く走れる人はいないからです。
 しかしドリブルからの攻撃はパスに比べて多くのチャンスを作ることができます。ボールを奪われるリスクが少ないならば、ドリブルでスペースをつくのは有効な攻撃です。
 ここで必要な能力は、相手と自分の能力の優劣を知ることです。このような感覚は、日ごろの練習で養われます。他人のプレーを見るときに、冷静に観察・分析する練習をすることが大切です。相手のいろいろなくせを見抜く練習をして下さい。
 しかし、これは相手もやっていると思わなくてはなりません。シュート・パス・ドリブルをよりスムーズに移行できるよう練習しましょう。
 ドリブルからのプレーは読まれないことが大切です。スピード、ボールコントロール等、必要なスキルは繰り返し練習しなければ身につきません。 これは、理論よりも練習での努力が必要になるでしょう。

ドリブルの注意

①ボールを見ないでつける・広い視野を確保している
②強くつける・腕全体を柔らかく使う
③低くつける・上半身を曲げない
④移動の幅の大きいドリブルが出来る
⑤足さばきとボールさばきが状況に応じて使い分けられる・つま先をやや開いて腰を落とす
⑥リズムの変化がつけられる・ディフェンスと近接するときはオフアーム(反対側の手)でガードする
⑦ミスしたとき「技術」のミスなのか「判断」のミスなのかを考える

ボールが手から離れて、手に戻ってくるまでの間の時間が一番ボールが無防備な時間です。この時間が少なくなるように、ドリブルは強くつくし、低くつくように指導されます。 しかし、ディフェンスの抜き去るときには、左右の幅、リズムの変化の大きいドリブルが効果的です。

ドリブルの練習

下の注意事項を守って練習しましょう

①ボールよりコート全体を見ましょう。
②失敗するのは慣れていないからです。慣れてくれば失敗しなくなります。
③必ず利き手の反対の手から練習をしましょう。
④走る時は全力で走りましょう。そのためにドリブルが失敗するのは慣れていないからです。

ドリブルの練習をするときは、いつでもディフェンスを考えて練習しなくてはなりません。ドリブルチェンジをするならディフェンスの位置だけでなく、態勢などを考えましょう。また、いつでもパスを出せるように視野を広くしなくてはいけません。自分のドリブルより、前にいる味方へのパスの方が速いことを知っていく手はなりません。

ドリブルハンドリング

ドリブルを自由につくための、ボールコントロールの練習です。
①前後左右にV字を描く様にドリブルします。
②肩の高さ、膝の高さと交互にドリブルします。
③足の間を8の字を描く様についていきます。
④足踏みをして、外側の足や内側の足とドリブルが合うようにします。また、両足のステップに合わせて速いドリブルをします。
⑤ボール2個を色々なつき方をしながら、もう一人の指示に従います。
⑥前・横・後で自由にドリブルをつきます。その際に手の方向をつく方向に合わせます。
⑦指先で小さいドリブルをつき、足の間を8の字につきます。
⑧サークル内でドリブルしているお互いのボールをカットします。
⑨ドリブルダッシュからコーチの笛でボールキープして止まる。
⑩ドリブルダッシュからコーチの笛で方向転換。
⑪ドリブル競走(2チームに分けて競争)

ボールを見ないようにしましょう。今までボールを見てドリブルしていた人は失敗します。大切なことは練習で失敗しないことではなく、練習の失敗を試合に生かすことです。

ドリブル練習


ランジドリブル
ランジをしながらドリブルをします。スタンスを大きくし、上半身を起こし、ボールは足の前につくようにします。スピードよりも確実に行うことが大切です。慣れてくるとボール2個や、バックでも行ってみましょう。

アタック・ドリブル
2人組になってエンドラインとセンターラインに分れます。同時にスタートして、中央付近でエンドライン側から来た人がドリブルチェンジをします。センターラインから来た人は同じドリブルチェンジをしてぶつからないようにすり抜けます。



ドリブルチェンジ・ドライブイン
センターラインからドリブルを始め、途中3Pライン付近でドリブルチェンジをして、ドライブインのコースを逆方向に変えます。スピードを落とさずにドリブルチェンジをしますが、できるだけ多くの種類のチェンジをしましょう。



直角のドリブルチェンジ
コーナーからスタートし、ファウルライン付近で直角に曲がってミドルレーンに出ます。ミドルレーンをセンターサークルで直角に曲がり、センターライン・サイドライン・ファウルライン・ミドルレーンと進んでシュートを打ちます。ドリブルの手は曲がるごとに代えます。スピードを落とさずに直角に曲がれるようになれば、大きな武器になります。ストップの技術とボディーコントロールが大切です。

三角パス
三角型でパスしますが、内側の手でドリブルし外側の手でバウンズパスをします。あるいは外側の手でドリブルし内側の手でバウンズパスをします。ドリブルで動きながらのパスですので、ボールを見ないでパスするようにしましょう。



ドリブル数を制限したドライブイン
この図ではセンターサークルから出発してドリブル数の制限をしながらウイングにまわり、ワンドリブルずつ方向や手を変えながらシュートまで行くことになっています。スタート位置もコースもドリブル数も各チームに合わせて設定するのがいいでしょう。できるだけ速くかつ力強く走り抜けるようにしましょう。


直線ドリブル
オールコートを直線でドリブルします(左・右・交互)。視野を確保して全体をぼんやり見て下さい。しっかり見ようとすると視野が狭くなります。試合のつもりでシュートは必ず入れましょう。

スキップドリブル
オールコートをスキップしながらドリブルします(左・右・ボール2個)。ボール2個の場合は、同時・交互など変化させましょう。

5ドリブル
強く速いドリブルをつく練習です。オールコートをドリブル5つでシュートします(左・右・交互)。強いドリブルをつけば、手についている時間が長くなるので、ドリブルの数は減ります。シュートはレイアップのみで、スクープやティアドロップは禁止します。ドリブル数はチームに合わせて変えて下さい。

直線ドリブルタイムトライアル

オールコートをゆるくカーブしながらドリブルシュートします(左・右・交互)。時間は最初はできる秒数から始め、だんだん短くしていきます。走る距離は25mそこそこですから、目標は4秒~4.5秒位に設定します。時間内にシュートまで行けなかった場合は、すぐにコートから出ます。

曲線ドリブルタイムトライアル
スタートから逆のサイドラインを目指してドリブルし、それからリングに向かいドリブルシュートをします(左・右)。時間は最初はできる秒数から始め、だんだん短くしていきます。走る距離は30mそこそこですから、目標は4.5秒~5秒位に設定します。時間内にシュートまで行けなかった場合は、すぐにコートから出ます。

スラロームドリブルタイムトライアル

フリースローとセンターのサークルを半周ずつ回り、反対側のフリースローサークルを3/4周回って、再びスラロームで戻りドリブルシュートします。時間は最初はできる秒数から始め、だんだん短くしていきます。走る距離は50mそこそこですがカーブが多いので目標は9秒位に設定します。時間内にシュートまで行けなかった場合は、すぐにコートから出ます。

ジグザグドリブル
ジグザグに色々なチェンジをしながらオールコートを走ります。特にチェンジ後のスピードと全体の視野には気をつけましょう。シュートは必ず入れましょう。

サークルドリブル
フリースローとセンターのサークルを1周ずつ回りながらドリブルします。帰りはサイドラインをドリブルダッシュします。

スラロームドリブル
フリースローとセンターのサークルを半周ずつ回りながらドリブルします。帰りもスラロームしますが、しっかり前を見ないと衝突しますので注意しましょう。

オールコートドリブル1対2
ドリブルをついて片方のリング下から反対側のリングまで行ってシュートを決めます。センターラインからディフェンスが2人入ってダブルチームを狙います。8秒間隔で行い、8秒になったらコート外へ出ます。時間は各チームの都合で設定して下さい。



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